【10月11日 AFP】パキスタンで10日、4つの主要都市と北西部で爆弾攻撃が相次ぎ、計9人が死亡、60人以上が負傷した。この前日には、イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(Tehreek-e-Taliban PakistanTTP)」の司令官が、政府との和平交渉を受け入れる用意があると発言したばかりだった。

 南西部の都市クエッタ(Quetta)では、にぎやかな市場地区の警察署付近で自転車爆弾が爆発し、同日最多の5人が死亡した。また、ナワズ・シャリフ(Nawaz Sharif)首相の拠点で、普段は比較的平穏なパンジャブ(Punjab)州の州都ラホール(Lahore)では、食品店が並ぶ人通りの多い通りのレストランで小規模の爆発があり、1人が死亡、13人が負傷した。

 前日9日には、TTPのハキムラ・メスード(Hakimullah Mehsud)司令官の異例のインタビューが放送された。その中で同司令官は、和平交渉に応じる用意はあるとしながらも、政府が対話開始に向けて何ら真剣な措置を講じていないと批判した。

 米政府が500万ドル(約5億円)の懸賞金をかけて行方を追っている同司令官は、引き続き米国とその同盟国を標的にしていくと述べるとともに、パキスタンでの停戦を望むなら、まず米国による無人機攻撃を中止すべきとの要求を改めて強調した。

 パキスタンの主要政党は先月、2007年以降政府への攻撃を続けているTTPとの交渉を模索していくとする政府提案を支持したが、TTPはその前提条件として、政府側からの攻撃停止や、同組織の潜伏先があるアフガニスタンとの国境沿いの部族地域からの軍撤退などを提示している。しかし、北西の都市ペシャワル(Peshawar)で1週間に計140人以上が殺害されるなど、このところ頻発する残虐行為を受け、和平交渉の実施を疑問視する声も強まっている。(c)AFP