【10月9日 AFP】サウジアラビアの裁判所は7日、5歳の娘を強姦(ごうかん)の上激しい暴力を振るって死なせたイスラム教の伝道師フェイハン・ガムディ(Fayhan al-Ghamdi)被告に対し、禁錮8年とむち打ち800回の刑を言い渡した。弁護士が8日、明らかにした。

 同弁護士によると、裁判所はガムディ被告に対し、亡くなった女児の母親である元妻に100万リヤル(約2600万円)の「血の賠償金」の支払いも命じた。「血の賠償金」は、イスラム法で定められている被害者の遺族に対する賠償金を指す。

 人権活動家の話によると、被害を受けた女児が2011年12月25日に病院に運び込まれた際、女児の頭蓋骨は割れ、複数の肋骨(ろっこつ)と左腕が折れていた。さらに、重度の打撲傷ややけども見つかったという。同病院のソーシャルワーカーは、女児の背骨も折れており、「身体のあらゆる部位に」性的暴行を受けていたと話している。女児はその数か月後に死亡した。

 ガムディ被告は、サウジアラビアで公認された聖職者ではないが、イスラム教の伝道師として頻繁にテレビ出演していた。同被告は、娘の貞節を疑って暴行や強姦に及んだとされる。

■刑の軽さに非難集中、サウジでのDV軽視浮き彫り

 同被告に対する量刑の軽さに衝撃を受けたというある人権活動家は、「数年前、羊2頭の窃盗犯に禁錮5年とむち打ち刑という判決が下った。それなのに、実の娘を殺した父親に対する刑罰はなぜこんなに軽いのか?」と憤った。

 超保守のサウジアラビアでは、強姦や殺人を犯せば死刑となる場合もあるが、実子を殺した父親および妻を殺した夫に対しては死刑ではなく5~12年の禁錮刑が科される。同国では8月、主に女性や子どもを守る目的で家庭内暴力を犯罪とする法律が初めて成立したが、施行には至っていない。(c)AFP