【10月1日 AFP】安倍晋三(Shinzo Abe)首相は1日、消費税率を現行の5%から8%に引き上げることを正式に表明した。増税は巨額の国家債務を削減するために不可欠とみられているが、一方では立ち直りつつあった経済の失速を懸念する声も上がっている。

 安倍首相は同日午後の会見で、5兆円規模の経済政策を実施することをあわせて表明。増税だけでは景気が逆戻りする大きな危険性があると述べ、「経済再生と財政健全化は両立しうる」と語った。

 専門家は消費増税による家計への影響を8兆円規模と推計している。景気が回復しつつある中での消費増税は、個人消費に大きな影響を及ぼしかねない。

 12月に策定される経済対策では、低所得者層への現金1万円給付や、企業に対して投資や賃金引き上げを促す減税措置などが盛り込まれるとみられている。

■大企業・製造業には好況感

 安倍首相が増税を表明する数時間前、日本銀行(Bank of JapanBOJ)が四半期ごとの短観を発表。大企業・製造業の業況判断は5年ぶりの高水準だった。

 だが一方で、9月27日に発表された統計によると、最近の物価上昇が燃料費高騰を背景にするもので、デフレ脱却に必要な包括的なものではないことも明らかになっている。また8月は、鉱工業生産指数が予想を下回り、消費支出も前年比1.6%減となっており、経済の回復がまだ達成されていないことが示されていた。(c)AFP/Shingo ITO