【9月11日 AFP】スペイン1部リーグのレアル・マドリード(Real Madrid)がギャレス・ベイル(Gareth Bale)獲得のために支払った驚くべき額の移籍金について10日、欧州クラブ協会(European Club AssociationECA)のカール・ハインツ・ルンメニゲ(Karl-Heinz Rummenigge)会長が言及し、規制には反していないという判断を下した。

 ベイルは今月1日、イングランド・プレミアリーグのトッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)から9400万ユーロ(約123億円)ともいわれる移籍金でレアル・マドリードに加入し、6年契約を結んだ。

 スペインが深刻な経済危機に直面している中、この天文学的な移籍金額を疑問視する者も多い。

 しかしルンメニゲ会長はこのベイルの移籍金問題について、問題の争点は市場の現状にあると述べ、倫理観に基づいて論ずるべきだはないと話した。

「選手の値は、いつも市場に左右される。この選手の需要は市場でとても高かったので、もちろん最終的な値段もとてつもないものになってしまった」とルンメニゲ会長はスイス・ジュネーブ(Geneva)で行われたECA総会の閉会後、報道陣に語った。

「倫理的な部分について話し合うことは難しい。レアルは試合でいい成績を残すために、素晴らしい選手を欲しがっているのだ。レアルがファイナンシャル・フェアプレー(FFP)規定は守っていることは確かだ。ベイルの移籍金問題に関して、われわれが注視しなければいけないのはそこだけだ」

■FFP、サッカー移籍市場のコントロールなるか

 FFPとは欧州サッカー連盟(UEFA)が各チームとの合意のもと導入した経済政策で、クラブが収入以上の資金を戦力獲得のために注ぎ込むことを制限し、債務危機の可能性を緩和させるために成立された。

 UEFAの報告によると、2011年の導入から2012年までですでにクラブによる負債は40%も減少したという。

 クラブによるFFPの不履行が明らかになった場合は、欧州カップ戦の出場権が剥奪されるなどの制裁が下される可能性がある。そうなると欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League)やヨーロッパリーグ(UEFA Europa League)に進出すると支払われるボーナスを手に入れることができなくなるため、クラブの財政悪化に繋がる。

 ルンメニゲ会長は、ベイルの移籍金問題は規制に引っかからないものの、FFPが今後の移籍市場を制限する働きをもつようになる可能性はあると述べた。

「(FFPは)サッカーに理性を与える役割を持つと思う。みんなの足が地に再び着くよう、欧州サッカー界の手助けがしたい」

(c)AFP