【8月30日 AFP】イタリア・ベネチア(Venice)で29日、巨匠レオナルド・ダビンチ(Leonardo da Vinci)が日記に描いたスケッチを紹介する珍しい展覧会が開幕した。芸術から科学まで幅広い分野で業績を残したルネサンス期の天才の内面世界がうかがい知れる。

 ベネチアのアカデミア美術館(Galleria dell'Academia)で開催中の展覧会「Leonardo da Vinci: The Universal Man(レオナルド・ダビンチ:万物の人)」では、著名な絵画や驚異的な発明品よりも、ダビンチの内面的な思考の働きや、自分を取り巻く世界への飽くことのない好奇心に焦点を当てている。

 同美術館の所蔵や世界各地から集めたスケッチ画は1478年~1516年に描かれたもので、人体の比率を示した有名な解剖図「ウィトルウィウス的人体図(Vitruvian Man)」も含まれている。この解剖図は古代ローマの建築家ウィトルウィウスの記述を基にダビンチが作成したものだ。

 ダビンチの個人的な日記をひも解いていく作業は、史上最も興味深い芸術家の1人の創造性に満ちた意識の内面を旅するのに似ている。大量のスケッチやメモ書きからは、建築家、植物学者、科学者、作家、彫刻家、哲学者、技術者、発明家、音楽家、詩人、都市設計家と多彩な顔を持っていたダビンチの頭の中で、1つのアイデアが次のアイデアへと次々に飛躍していく様子が見てとれる。

 同展を企画した学芸員のアンナリサ・ペリッサ(Annalisa Perissa)氏によれば、日記のスケッチのうち25点は1980年以来ずっと公開されていなかったもので、今回の美術展は全てのスケッチを揃って見ることができるまれな機会だという。会期は12月1日まで。(c)AFP