【7月10日 AFP】米紙ニューヨークタイムズ(New York Times)は 9日、米政府がアフガニスタン駐留米軍の撤退を加速させる可能性があることを伝えた。2014年末で完全撤退する考えについても真剣に検討しているという。

 バラク・オバマ(Barack Obama)大統領とアフガニスタンのハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領は6月26日、アフガンの旧支配勢力タリバンがカタールの首都ドーハ(Doha)に対外連絡事務所を開設したことに関連してテレビ電話で会談した。しかし同紙によると、会談は決裂。これを受けて、米政府は撤退に関する新たな選択肢について検討を開始したという。

 米政権とカルザイ大統領との関係については、これまでも良好な状態ではなかったが、特に先月のタリバンによる対外連絡事務所の開設でさらに悪化した。カルザイ大統領は、タリバンがこの事務所を亡命政権の非公式な大使館と位置づけたことに大きな不快感を示していた。

 6月のテレビ会議は、高まった両国間の緊張緩和を目的としてオバマ大統領が提案したものだったが、タイムズ紙は両国政府の関係者の話として、協議は物別れに終わったと伝えている。

 カルザイ大統領は、米政府がタリバンおよびパキスタンのタリバン支援者らと直接交渉しようとしたことを強く非難し、頭越しに協議が行われた際には、アフガニスタンが敵対する隣国からの脅威にさらされるとの見解を示した。

 米政府高官は、米軍撤退後の同国における北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)の駐留について、カルザイ政権との協議を続けたいとしている。しかし同紙によると、米欧の政府高官は協議に向けた双方の姿勢が硬化しているとみているという。

 オバマ大統領は2014年末にアフガニスタンから米軍を撤退させる方針を固めている。ただ、テロの脅威への対応や同国軍の訓練のため、一部兵力を残す計画でカルザイ政権と協議していた。(c)AFP/Mathieu RABECHAULT