【7月3日 AFP】体外受精法(IVF)の1つで男性不妊に用いられる「卵細胞質内精子注入法(ICSI)」と知的障害のリスクの微増に関連性がみられたとの研究が、2日の米医学誌「米国医師会雑誌(Journal of the American Medical AssociationJAMA)」に掲載された。

 研究は同種の研究では過去最大規模で、スウェーデンで1982~2007年に生まれた子ども250万人の記録を基に行われた。英米の研究チームは体外受精で誕生した3万959人(全体の1.2%)を対象に自閉症と知的障害の症例を分析した。

 なんらかの体外受精治療を受けて誕生した子どもに自然妊娠で生まれた子どもと比べて自閉症のリスク増加は見られなかったが、知的障害のリスクは18%高かった。

 さらに、研究チームはスウェーデンで利用可能な体外受精法6種類を比較した。

「複数のIVF治療を分類した結果、『従来型』のIVFは安全であることがわかった」と、論文の共同執筆者でキングス・カレッジ・ロンドン(King's College London)精神医学研究所のスベン・サンディン(Sven Sandin)氏は述べる。「しかし、男性不妊に特に推奨されているICSIの関与するIVFは、子どもの知的障害と自閉症の両方のリスク増加に関連性があった」

 ICSIは1992年に開発された治療法で、男性不妊に対して推奨されており、現在では全IVF治療のうち約半数で使用されている。論文は「これらの障害の患者数は少なく、IVFに関連した絶対リスクの増加は小さい」と述べ、他の母集団における関連性を確認する追加研究も実施するべきと提案した。(c)AFP