【7月2日 AFP】オンライン決済サービスを手がける米ペイパル(PayPal)は6月27日、宇宙旅行者がどのような通貨を使うのか真剣に考える時が来たとして、宇宙で流通する通貨を研究する「ペイパル銀河計画(PayPal Galactic Initiative)」を始めると正式に発表した。

 ペイパルのデービッド・マーカス(David Marcus)社長は「将来に向けた計画を始めるべき時がやってきた。将来は地球上の決済だけにとどまらない。われわれのビジョンは地球を離れて宇宙へと拡大している」と話す。

 米カリフォルニア(California)州シリコンバレー(Silicon Valley)の米SETI(地球外生命探査)研究所(SETI Institute)で開かれた発表イベントでは、米国の元宇宙飛行士、バズ・オルドリン(Buzz Aldrin)氏もスピーチした。

 ペイパルが主導するこの取り組みは、宇宙の商業化において一定の役割を担うべき関係団体を集め、銀河系間に及ぶ金融制度の枠組みを研究することを目的としている。

■「宇宙の商業化は思っているよりも近い」

 マーカス社長は、国際宇宙ステーション(International Space StationISS)に滞在している宇宙飛行士が軌道周回中の暇つぶしのために電子書籍や音楽を購入する場合でも、支払うべき請求書は発生すると説明した。

 ペイパルによると、英ヴァージングループ傘下の宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)や米民間宇宙開発ベンチャーのスペースX(SpaceX)などは宇宙観光旅行が近い将来実現するという見通しを持っており、旅行者が地球を離れた際に旅行中に使うお金が必要になるとしている。今後3年ほどで宇宙ホテルが地球を周回する計画もあり、ポーターへのチップやルームサービスなどの支払いが生じることも見込まれている。

 マーカス社長は「他の惑星に居住する計画を立て始めると、やはり現実の生活の日常的な事柄に対処する必要性が出てくる」と述べ、「生活必需品の支払いを行う手段が向こうでも必要になるはずだが、それをどのように行うのかは現在のところ明確になっていない」と指摘した。

 グローバルな通貨になるという展望の下、15年前の6月に創立されたペイパルは星々に目を向けて創立記念日を祝うのがふさわしい、と同社の世界製品部門を統括するヒル・ファーガソン(Hill Ferguson)氏はAFPに語る。「最初は笑い飛ばして気は確かかと思うだろう」とファーガソン氏。「だが宇宙開発や、宇宙の商業化という構想は、多くの人々が考えているよりもはるかに現実に近いところにある」(c)AFP/Glenn Chapman