【6月23日 AFP】トルコの最大都市イスタンブール(Istanbul)中心部で22日、数千人規模の反政府デモが行われ、警官隊が催涙ガスやゴム弾、放水で強制排除した。10年間続いているイスラム色の強い現政権への抗議活動は、新たに活発化している。
 
 デモ隊が市内のタクシム広場(Taksim Square)で、レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)首相の退陣を求めてシュプレヒコールを上げていたところ、数百人の警官隊が放水車とともに突入し、デモ隊を解散させた。

 この日のデモは、全国の反政府活動の中心地であるゲジ公園(Gezi Park)での強制排除から1週間を迎えたタイミングで行われた。デモはトルコを揺るがし、エルドアン首相を激怒させるとともに、トルコが西側諸国から厳しい批判の目を向けられる契機を作った。

 トルコ情勢不安の発端は先月31日、ゲジ公園内の600本の木を再開発事業に伴う伐採から救おうとする小さな活動に対し、警察が強硬な取り締まりを実施したことだった。この措置に対する反発が広がり、専制色を強めているとしてエルドアン首相に抗議する大規模デモに発展した。

 トルコ医師会(Turkish Medical Association)は、一連の騒乱で4人が死亡し、8000人近くが負傷したとしている。また、複数の弁護士グループによると、全国で数百人が拘束され、少なくとも46人が訴追された。大半は「テロ」組織への所属や器物損壊の罪に問われているという。

■冷え込む対独関係

 抗議デモへのトルコ政府の対応は、西側諸国の批判を招いた。特にドイツとの関係は冷え込み、21日には両国で、相手国の大使を呼んで抗議する報復とも取れる動きがあった。

 ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は17日、トルコの暴力的なデモ取り締まりは「余りにも厳しすぎる」と非難。トルコのエゲメン・バウシュ(Egemen Bagis)欧州連合(EU)相は、EU加盟交渉の再開留保を主張するドイツやオランダに反発するとともに、ドイツ総選挙が9月に予定されていることを踏まえ「メルケルが選挙運動用の題材を探しているのならば、トルコ以外のものにすべきだ」と述べ、ドイツを正面から批判した。

 この日はドイツのケルン(Cologne)市内でも、エルドアン政権に抗議する8万人規模のデモが行われた。EU最大の経済大国であるドイツは、トルコ人移民が世界最多で、トルコにとって最大の貿易相手国でもある。(c)AFP/Nicolas CHEVIRON