【4月25日 AFP】イングランドサッカー協会(Football AssociationFA)は24日、チェルシー(Chelsea)のブラニスラフ・イヴァノヴィッチ(Branislav Ivanovic)にかみついたリバプール(Liverpool FC)のルイス・スアレス(Luis Suarez)に対し、10試合の出場停止を科すと発表した。

 FAは公式サイトで、「3名による独立規律委員会は本日、通常の出場停止3試合では明らかに不十分だとするFAの主張を支持した。これにより、スアレスには通常の3試合に7試合の出場停止処分が加えられる」と発表した。

 FAはスアレスの出場停止処分が即座に適用されるとしており、同選手は来シーズン序盤の欠場を余儀なくされる。

 FAの決定を受けてリバプールの最高経営責任者を務めるイアン・エアー(Ian Ayre)氏は、「厳しい」裁定にクラブは「驚き、失望している」とコメントを発表した。

 スアレスは7試合の処分について、26日の午前までに異議申し立てを行うことができる。すでに処分の受け入れを表明しているスアレスだが、3試合の出場停止では不十分だとするFA側の主張には異議を唱えていた。

 26歳のスアレスが長期の出場停止処分を受けたのはこれが初めてではない。オランダ・エールディビジのアヤックス(Ajax)に所属していた2010年11月には、PSVアイントホーフェン(PSV Eindhoven)のオトマン・バッカル(Otman Bakkal)にかみついて7試合の出場停止処分を受け、「アヤックスの人食い」とあだ名をつけられた。

 また2011年12月には、マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)のパトリス・エブラ(Patrice Evra)に対する人種差別発言で、FAから8試合の出場停止処分と罰金4万ポンド(約480万円)を科された。

 エブラは今回の問題について、マンチェスター・ユナイテッドが優勝を決めたアストン・ビラ(Aston Villa)との試合後、作り物の腕にかみつく素振りを見せてスアレスをからかっている。

 スアレスはかみついたイヴァノヴィッチに対してすでに謝罪し、同選手もこれを受け入れている。

 リバプールは今回の一件について素早い対応を見せており、スアレスに対して罰金を科すことを決めている。今回の罰金は、96人が犠牲となった「ヒルズボロの悲劇(Hillsborough Disaster)」の犠牲者支援団体である「ヒルズボロ遺族支援グループ(Hillsborough Families Support Group)」に寄付される予定となっている。

 また、今回の問題はスアレスがイングランド・プロサッカー選手協会(Professional Footballers' AssociationPFA)が選出する年間最優秀選手の候補に選ばれた2日後に発生した。投票結果はすでに集計されているため、スアレスは同賞を受賞する権利を持っている。(c)AFP