【4月11日 AFP】フランスの有名レストランの水準が落ちていることを懸念した同国料理界の重鎮15人が8日、厳格な基準にかなう料理店だけを評価する新しい基準を立ち上げた。

 選定にあたるシェフ15人のグループ「コレージュ・キュリネール・ド・フランス(College Culinaire de France)」には、アラン・デュカス(Alain Ducasse)氏、ジョエル・ロブション(Joel Robuchon)氏、ギ・サヴォワ(Guy Savoy)氏など、世界に名だたるフランス料理界のそうそうたる面々が並ぶ。

 パリのホテル、プラザアテネ(Plaza Athenee)や英ロンドン(London)のホテル、ドーチェスター(The Dorchester)に構える3つ星レストランなど世界8か国に自分の店舗を展開するデュカス氏はAFPの取材に対し「フランスには15万軒の料理店があるが、その4分の3は加工食品を調理しているだけだ。残りが新鮮な素材を料理しようとしている店で、それが我々の対象だ」と述べた。

 素材の原産地情報の提供やオリジナル・メニューの用意、温かい接待といったグループの基準にかなえば、店の料金設定にかかわらず、申請に応じてこの「品質が保証されるレストラン」の認定を受けることができる。また「冷凍パックを温め直すのではなく」、専属のシェフがいることも要件だ。

 デュカス氏は「最近では平均的な人たちはレストランの扉を開けて入っても、どうするのか分からない。(なのに)フランスの多くのレストランが、入っても無愛想だ」とも語った。

 認定を継続させるためには、この取り組みのために立ち上げられたウェブサイトの「顧客の満足度」で75%以上の得点を保つ必要がある。認定を受けたレストランには、店の前に掲げる「プレート」が授与される。約1万軒がこの認定を受けられる立場にあると選定グループはみている。

 今回の認定を最初に受けた店の一つ、パリにある「レ・ギャルソン(Les Garcons)」のシェフ、ダビ・レリー(David Lely)氏はこの新基準について「料理界を尊重する人々をつなぐ」もので「私たちをいっそう向上させる」と評価する。

 レストラン業界がフランスの観光と経済に大きな貢献を果たしているにもかかわらず、政府は「何もしていない」と批判するデュカス氏は「一流シェフとしての自分たちの評判や経験を生かし、この職業全体に役立てたい」と語る。「これ以上、悪くなるのを待ってはいられない。料理に関して、英語圏のメディアに『フランスはかつてほどではない』などと言わせておくわけにはいかない」と述べた。(c)AFP/Caroline Taix