【3月28日 AFP】太陽から地球まで旅する間に「行方不明」となる謎の素粒子「ニュートリノ」の研究を行っている国際共同実験「OPERA(オペラ)」のチームは27日、ニュートリノは地球に到着するまでの間にその形を変えるために探知されないとする説を裏付ける新たな実験結果が得られたと発表した。

 チームの声明によると、スイス・ジュネーブ(Geneva)近郊にある欧州合同原子核研究所(European Organisation for Nuclear ResearchCERN)から放出されたミュー型ニュートリノは、730キロ離れたイタリア国立核物理学研究所(INFN)のグランサッソ研究所(Gran Sasso Laboratory)にタウ型ニュートリノとして到着した。これは、「ニュートリノ振動」と呼ばれる変化が送受の途中で起きたという証明となる。この変異が観測されたのは、OPERAが2001年に実験を始めて以来、3度目のことだ。1度目は2010年、2度目は12年だった。

「この観測によって、科学者が40年以上にわたり研究を重ねてきたこと、すなわち、宇宙線が地球大気に衝突する際に発生するニュートリノの数が、予想よりはるかに少ないという事実が確認された」(チームの声明)

 物理学における「標準模型(Standard Model)」理論では、ニュートリノは質量を持てないとされているが、今回の実験結果は、ニュートリノも実は質量を持っている可能性を示唆している。(c)AFP