【3月21日 AFP】オーストラリアで戦後から20数年間にわたって未婚女性が出産した子どもが強制的に養子に出されていた問題について、オーストラリア政府は21日、初めて正式に謝罪した。

 1951~75年にかけて、オーストラリアでは未婚女性など社会的に望まれない妊娠をした女性が出産した子どもが強制的に養子に出されていたことが上院の調査で確認されたことから、ジュリア・ギラード(Julia Gillard)首相は21日の声明のなかで、「生涯心に残る傷と苦しみを生み出した」と謝罪の言葉を述べた。

 上院が調査を行った当時の母親や子どもたちの証言から、およそ22万5000人の新生児が強制的に母親から引き離され養子となっていたことが明らかになった。

 当時のオーストラリアは国民の大多数が保守的なキリスト教徒で、妊娠した未婚女性は親戚の元に送られるか、教会など宗教団体が運営する施設に入所させられていた。女性たちは出産前から生まれてくる子どもを養子に出すことを承諾する署名をしていたが、上院の調査から、女性たちは子どもを養子にだすことは避けられないとして強制的に署名させられたり、承諾書の署名が偽造されていたりしたことが分かった。

 養子に出された子どもたちの出生証明書は、全当事者の幸福のためには事実を「消し去る」ことが望ましいとの理由で里親となった両親の名で発行されていた。

 このため女性たちが、後になって引き離された子どもたちを取り戻すことは困難となっていた。(c)AFP