【3月13日 AFP】国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)は12日、シリアの内戦により子どもたちの1世代全体が失われる危険性があると警告し、危機対策のための資金援助を迅速に必要としていると呼び掛けた。

 シリアの内戦が始まってから2年となるのに合わせ、ユニセフは報告書を発表。会見を開いたユニセフのパトリック・マコーミック(Patrick McCormick)報道官は、子どもの1世代がまるごと損なわれることはシリアの国境を越えて深刻な帰結をもたらすことになると語った。

 報告書によると、シリア国内で支援を最も必要としている400万人のうち半数が18歳未満で、53万6000人が5歳未満の子どもたちだ。また国内避難民200万人のうち14歳未満の子どもは約80万人に上る。さらにシリア難民100万人のうち子どもの占める割合は半分に上り、その多くは近隣のヨルダンやレバノン、トルコ、イラクに逃れた。

 シリア国内の学校は、5校に1校が破壊された。「子どもたちの周りのすべて、子どもたちの夢と将来への機会が失われている」と、ユニセフのアンソニー・レイク(Anthony Lake)事務局長は報告書で述べた。「この長期化する紛争の中、シリア国内および周辺地域の子どもたちは、自分たちの過去と未来が、がれきと破壊の中に消えるのを目の当たりにしている」

 シリアの子どもと女性を支援するためにこれまでにユニセフに集まった資金は、呼び掛けた1億9500万ドル(約185億円)のわずか20%。ユニセフは、支援活動を継続するためには迅速な資金援助が必要で、資金がなければ、安全な水の提供やはしかとポリオのワクチン接種キャンペーン、新生児ケアと緊急医療などの活動の規模を近いうちに縮小せざるを得なくなると呼び掛けた。(c)AFP/Jonathan FOWLER