【3月7日 AFP】脱法ドラッグの一種「デザイナードラッグ(designer drug)」が憂慮すべきペースで広まっており、病院に運ばれる人の数も急増しているとする国連(UN)の報告書が5日、公表された。こうした薬物のまん延を防ぐための国際的な対策を呼び掛けている。

 オーストリア・ウィーン(Vienna)に本部を置く国連機関、国際麻薬統制委員会(International Narcotics Control BoardINCB)が公表した年次報告書によると、「リーガル・ハイ(legal high)」や「デザイナードラッグ」などと呼ばれる新しい精神作用物質の乱用がここ数年、かつてないほどの増加をみせているという。

 INCBのレイモンド・ヤンス(Raymond Yans)委員長は、「欧州だけを見ても、1週間に1種類程度のペースで新たな精神作用物質が出回っている。2000~05年には、平均で年間5種類が新たに報告されるだけだった」と述べている。報告書によると、市場には現在、数千種類に上る精神作用物質が存在すると専門家らは推定している。

 INCBはまた、こうした薬物が国際的な規制制度の対象にされておらず、インターネットで簡単に入手できる現状が、問題をさらに悪化させていると指摘。各国政府や国際機関は、これら薬物を特定し流通を阻止するための新たな方法を確立する必要があると述べている。(c)AFP