【2月6日 AFP】サウジアラビア当局は5日、北部ハイル(Hael)で、知人男性を殴り殺した罪で30年前に死刑判決を受けていた男の斬首刑を執行した。国営サウジ通信(SPA)が伝えた。この死刑囚の家族は寛大な処置を求めていたが、却下されたという。

 刑を執行されたのはアブドラ・ビン・ファンディ・シャマリ(Abdullah bin Fandi al-Shammari)死刑囚。同死刑囚は23歳のとき、ムージャブ・ビン・モハメド・ラシディ(Moojab bin Mohammed al-Rashidi)さんを口論の末に殴り殺したとして逮捕された。

 5年に及ぶ公判ののち裁判所は、シャマリ被告(当時)には殺意がなかったと判断し、被害者遺族に補償金を支払うよう命じて身柄を釈放した。しかし、ラシディさんの遺族がこの判決を不服として再審を請求。再逮捕されたシャマリ被告は1983年に死刑を言い渡された。

 ただし刑の執行は、サウジアラビアの法律に基づいてラシディさんの息子たちが補償金を受け取るかどうか決定できる年齢に達していないとして延期されてきた。このほど、息子たち全員が年齢に達し、補償金受け取りではなく刑執行を要求したことで、判決から30年後に斬首刑が執行されることとなった。

 今年に入ってサウジアラビアで斬首された死刑囚は、シャマリ死刑囚で10人目。サウジ当局の公式統計を基にしたAFPの集計によれば、2012年の斬首刑執行数は76件に上っている。一方、米国を拠点とする国際的人権擁護組織ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)は69件としている。

 サウジアラビアはシャリア(イスラム)法の厳格な解釈を適用しており、レイプや殺人、麻薬取引などは死刑に相当する。(c)AFP