【2月5日 AFP】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記の写真にスマートフォン(多機能携帯電話)が写っていることが分かり、世界で最も閉鎖的な国の1つである北朝鮮の指導者が好むブランドは何かについて憶測が飛び交っている。

 北朝鮮の国営メディアは前週、国家安全・対外部門幹部協議会に出席する金第1書記の写真を公開した。核実験の実施について協議したとされている会議だ。

 写真には、会議に臨む金第1書記の姿と同書記の腕の横に黒いスマートフォンが写っていた。また、金第1書記は火の付いたたばこを手にしていた。

 韓国政府高官はAFPの取材に「金第1書記が目を通していた書類のすぐ脇にあったことから、このスマートフォンは金第1書記の所有物であると信じられている」と語った。

 韓国メディアはこの写真を大きく掲載。スマートフォンのメーカーについて、同国のサムスン電子(Samsung Electronics)や台湾の宏達国際電子(HTC)、米アップル(Apple)などの名前が挙がっている。

 サムスン電子広報担当者はAFPの取材に「サムスンの携帯電話ではない」と語っており、また韓国政府高官も、韓国の情報機関が分析した結果として、HTCの携帯電話の可能性が高いと述べている。HTCは自社の携帯電話であることを認めていないが、声明で「すべてのユーザーからの支持」を感謝すると述べた。

 韓国紙の朝鮮日報(Chosun Ilbo)は、ブランド選定の背後には政治が作用したはずと述べ、「金正恩氏にとって米国製の製品を使うのは政治的に気まずいはずだ。また韓国の方が(北朝鮮より)技術的に進んでいるということを公的に認めるわけにもいかない」と持論を展開した。

「金第1書記とその家族、それに北朝鮮の政治エリートらは、インターネットにアクセス可能なスマートフォンや携帯電話を使っているようだ」と、韓国政府高官は語った。(c)AFP