【1月30日 AFP】米大リーグ(MLB)のニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)に所属するアレックス・ロドリゲス(Alex Rodriguez)を含む複数のアスリートが、ドーピングに関与している疑いのある医療機関と関係している事を29日、マイアミ・ニュー・タイムズ(Miami New Times)紙が報じた。

 ロドリゲスとの関係が明らかになったのは、クリニック「バイオジェネシス(Biogenesis)」アンソニー・ボッシュ(Anthony Bosch)院長。記事によると、同紙が同クリニックの従業員から入手したボッシュ氏の手書きの記録から、ロドリゲスの名前の記載が見つかったという。

 2012年にボッシュ氏が書いたとされる記録には、4月~5月にかけてロドリゲスへの数千ドルにも上る請求や、テストステロン(testosterone)やヒト成長ホルモン(Human Growth Hormone、HGH)が配合された複数の禁止薬物などの注文の詳細が記述されている。
 
 ロドリゲス側はニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙が掲載した声明文の中で、「報道されているロドリゲスとボッシュ氏の関係は事実ではありません。ロドリゲスは同氏に治療やアドバイスを受けたこともありません。マイアミ・ニュー・タイムズの記事で報じられた記録の、少なくともロドリゲスに関する記述は事実無根です」と発表している。

 ロドリゲスは2009年、テキサス・レンジャース(Texas Rangers)に所属していた2001年~03年に運動能力向上薬を使用した事を認めたものの、それ以降は禁止薬物に一度も手を出していないと語っている。しかしボッシュ氏の記録には2009年~12年の間に16度もロドリゲスに関する記述が見つかっている。

 ア・リーグの最優秀選手(MVP)に3度選出されている37歳のロドリゲスは現在でん部の手術から回復中で、早ければ7月に復帰すると予想されている。しかしドーピングで出場停止処分が科されれば、2013シーズン中の復帰は絶望的となり、ヤンキースは総額1億1400万ドル(約140億円)の5年契約やロドリゲスの処遇について検討する必要が出てくる。

 ヤンキースは「我々はMLBコミッショナーの薬物使用防止プログラムを全面的に支持しています。この件に関してはコミッショナーに委ねる事とし、捜査の結論が出るまで球団側からのコメントは控えさせていただきます」と声明を出した。

■ボッシュ氏の記録にはAロッド以外の名前も

 ボッシュ氏の記録からはロドリゲスの他に、ワシントン・ナショナルズ(Washington Nationals)の投手ジオ・ゴンザレス(Gio Gonzalez)の名前も見つかった。

 2012年シーズンにナ・リーグ最多の21勝を挙げたゴンザレスは、ワシントン・タイムズ(Washington Times)紙の取材に対し「運動能力向上薬を摂取したことはなく、これからも摂取することはありません。ボッシュ氏とお会いしたことはありませんし、ボッシュ氏が供給する薬物を使用したこともない。全てが嘘です」とドーピングを行ったことを真っ向から否定した。
 
 過去に告訴された経歴を持たないボッシュ氏だが、同氏の活動について、フロリダ(Florida)州当局と米麻薬取締局(U.S. Drug Enforcement Administration)が捜査を開始したとニューヨーク・デーリー・ニューズ(New York Daily News)紙は報じている。

 ボッシュ氏の記録には、他にも2012年に禁止薬物使用で出場停止処分を課されたトロント・ブルージェイズ(Toronto Blue Jays)のメルキー・カブレラ(Melky Cabrera)、オークランド・アスレチックス(Oakland Athletics)のバートロ・コロン(Bartolo Colon)、サンディエゴ・パドレス(San Diego Padres)のヤスマニ・グランダル(Yasmani Grandal)の3選手や、レンジャースのネルソン・クルーズ(Nelson Cruz)らMLB選手の名前が記されていた。

 また、ボクサーのユリオルキス・ガンボア(Yuriorkis Gamboa)やオーストラリアに禁止薬物を持ち込もうとして2010年に2年間の出場停止処分を受けたテニス選手のウェイン・オデスニク(Wayne Odesnik)に関する記述も見つかっている。(c)AFP