【1月24日 AFP】強毒性の鳥インフルエンザ(H5N1)ウイルスの変異株研究を行っていた世界各国の研究者らは23日、ウイルスの保管やウイルスがテロリストの手に渡る懸念から1年間自粛していた強毒性鳥インフルエンザの感染研究を再開すると宣言した。

 東京大学(University of Tokyo)の河岡義裕(Yoshihiro Kawaoka)教授やオランダのエラスムス医学センター(Erasmus Medical Centre)のロン・フーシェ(Ron Fouchier)教授ら、世界各国の研究者40人が米科学誌サイエンス(Science)と英科学誌ネイチャー(Nature)に共同声明として発表した。

 声明は、「公衆衛生に対する責任」を理由に、研究再開を政府が承認した国で「鳥インフルエンザ感染研究の自主的な一時停止を終える」と宣言している。ただし、まだ強毒性鳥インフルエンザに関する安全指針の検討段階にある米国や、米国以外の国でも米国資本の研究は再開の対象に含まれない。

 河岡教授やフーシェ教授の研究チームは哺乳類間で感染する鳥インフルエンザの変異株の作成に成功していたが、ウイルスがテロに悪用される懸念などから2012年1月から自主的に研究を中止していた。

 しかしフーシェ教授は23日、電話を通じての記者会見で研究再開の条件は全て満たされたと説明。河岡教授も研究の安全性を強調し、「(鳥インフルの)世界的流行を防ぐための研究を行わないことのリスクの方が大きい」と語った。

 その一方で科学者らは、強毒性インフル研究の条件がまだ確立されていない国では研究は控えるべきだとの認識を示した。 これには米国が含まれる。河岡教授が日本で行っていた研究プロジェクトは米国が出資しているため、まだ再開できない。(c)AFP/Mariette LE ROUX