【1月16日 AFP】インドで先月起きた集団強姦殺人事件を受けて、同国第2の都市ムンバイ(Mumbai)に隣接するターネー(Thane)市では警察が迷惑行為対策班を立ち上げたが、取り締まり対象となっているのは夜間に一人歩きをしている女性や若者カップルだという。

 昨年12月16日の事件以降、10~15人の私服警察官が市内を巡回しているが、暴行をする側ではなく、夜遅くに出歩く女性やカップルに罰金を科しているという。

「夜遅くに公園や庭園のはずれや、他から孤立した場所で見つけた未婚のカップルや一人歩きの女性に対しては、そのような場所に行かないよう指示している」と地元警察幹部のRamakant Mahire氏はAFPの取材に語った。「そういった人たちを見つけたときは、そのような場所を訪れないようにすることや、公共の場所で迷惑行為をしないよう指示している」。現在、日没以降は街頭に人気がない状態を維持しているという。

 同幹部によれば、犯罪に対する地域の不安が高まっていることと、先月ニューデリー(New Delhi)で起きた女子学生集団強姦殺人事件を受けてこの取り締まりを開始した。不適切な行為をしているカップルに対しては1200ルピー(約2000円)の罰金を科し、親を警察署に呼び出すこともあるという。

 インド紙タイムズ・オブ・インディア(Times of India)によるとこの取り締まりが始まって以降、ボンベイ警察法(Bombay Police Act)に基づき「公的不法妨害」におよんだとして、95人が罰金を科された。

「若い女性が夜、一人で暗がりにいれば、若い男性たちが近づこうとするのは当然だ。女性たちの安全のための措置だ」と幹部は語った。サネ警察署長も同紙に対し、女性を性的嫌がらせから守るための取り締まりだと説明している。

 一方、ムンバイ警察のサトヤパル・シン(Satyapal Singh)本部長は、学校で性教育を行っている米国などの国のほうが、女性に対する犯罪の発生率が高いと主張している。

 シン氏は14日、女性の安全について話し合う公開討論会で「ある調査によれば、そうした国々では喫煙よりも強姦のほうが多い。学校で性教育が行われている国々では、女性に対する犯罪が増加するばかりだ」と語った。(c)AFP