【12月31日 AFP】2012年のサッカー界では、ディディエ・ドログバ(Didier Drogba)の中国スーパーリーグ(1部)への移籍を初めとして、多くのベテラン・スター選手らが裕福なアジア・太平洋地域のクラブへとその活躍の場を移したことで、アジア地域の各リーグが注目すべき移籍先として急浮上した。

 7月にイングランド・プレミアリーグのチェルシー(Chelsea)から上海申花(Shanghai Shenhua)へと移籍し、ドログバは今もなお注目を集め続けている。ニコラ・アネルカ(Nicolas Anelka)、マルチェロ・リッピ(Marcello Lippi)監督、アレッサンドロ・デル・ピエロ(Alessandro Del Piero)もアジア地域のクラブへと移籍し、さらにはデビッド・ベッカム(David Beckham)にも中国やオーストラリア行きの噂が浮上した。

 日本の香川真司(Shinji Kagawa)は、イングランド・プレミアリーグ、マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)へのステップアップを果たした。欧州におけるファイナンシャル・フェアプレー(FFP)の導入により、アジア地域のリーグにも必然的に目が向けられたといえる。

■上海申花にとどまる意向のドログバ

 上海申花への移籍をめぐっては、文化の違いを克服することが問われたドログバ。しかしファンから「魔獣(Devil Beast)」というニックネームを畏敬の念とともに送られた同選手は、クラブ上層部の混乱にも動じることなく、すでに来シーズンも中国にとどまる意向を示している。

「待っていてくれ、俺は戻ってくる」──11月、リーグ戦最終節を終えて香港フットボールクラブ球技場(Hong Kong Football Club Stadium)を去る間際、ドログバは地元紙の東方体育日報(Oriental Sports Daily)に対しコメントした。

 広州恒大(Guangzhou Evergrande FC)は、豊富な資金を惜しみなく使い、サッカーW杯ドイツ大会(2006 World Cup)でイタリア代表を優勝へと導いたリッピ監督を招聘(しょうへい)。さらには元ボルシア・ドルトムント(Borussia Dortmund)のルーカス・バリオス(Lucas Barrios)を獲得しアジア制覇を目指したが、最終的には国内リーグ戦とカップ戦の2冠を達成するにとどまった。

■豪州を新天地に選んだデルピエロ

 オーストラリアのAリーグでも、シドニーFC(Sydney FC)が元イタリア代表のデルピエロを獲得したことが大きく報じられた。元イングランド代表のエミール・へスキー(Emile Heskey)もニューカッスル・ジェッツ(Newcastle Jets)に入団し、活躍を続けている。

 ベッカムが米メジャーリーグサッカー(MLS)のロサンゼルス・ギャラクシー(Los Angeles Galaxy)を退団し、引退前にあと1クラブでプレーしたいと表明した際、中国とオーストラリアが有力な移籍先として挙がったのはこうした資金力のためだ。

■無敗でアジアを制した蔚山現代

 韓国Kリーグの蔚山現代(Ulsan Hyuindai)は、サッカーAFCチャンピオンズリーグ2012(AFC Champions League 2012)の決勝でアル・アハリ(Al Ahli SC)を3-0で豪快に下して無敗優勝を遂げるとともに、アジア・サッカー連盟(Asian Football ConfederationAFC)の選ぶ最優秀クラブ、最優秀選手、最優秀監督の3部門で受賞を果たした。

 金鎬坤(Kim Ho-Gon、キム・ホゴン)監督はチームを大会記録となる9連勝での優勝へと導き、李根鎬(Lee Keun-ho、イ・グノ)は最優秀選手賞を受賞した。12クラブW杯(2012 FIFA Club World Cup)に出場するまでの快進撃は、(八百長といった)不祥事が後を絶たないKリーグの状況を一時忘れさせるものとなった。

■ユナイテッドの一員となった香川、W杯出場をほぼ手中に収めた日本代表

 香川は11-12シーズン終了とともにドイツ・ブンデスリーガ1部のドルトムントを離れ日本人として初めてマンチェスター・ユナイテッドの一員となった。後に膝のけがで離脱を強いられたものの、加入してすぐにその実力を証明した。

 また、2011年にサッカー・アジアカップ(Asian Cup)を制した日本代表は、最終予選の5試合で4勝と好調を維持し、2014年サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)本選出場まであと一歩のところに達した。

■会長の追放と新たな連盟の構築

 ピッチ外に目を向ければ、会長選での不正疑惑でAFCのモハメド・ビン・ハマム(Mohamed Bin Hammam)会長に活動停止処分が科されるという事態も起きた。これを受け、連盟は2013年に会長選を行うと発表した。

 AFC会長代行の張吉竜(Zhang Jilong、チャン・チーロン)氏は「透明性のある新たな時代」とのスローガンを掲げ、2013年4月末の総会で決まる新会長の最有力候補とみられている。同総会では、ハマム氏の処分により空席となった国際サッカー連盟(FIFA)理事の補欠選挙も行われる。(c)AFP/Talek Harris