【12月8日 AFP】ワシントンで最も有名な「口ひげ」が姿を消した。バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の上級顧問、デービッド・アクセルロッド(David Axelrod)氏(57)が7日、てんかんの研究への寄付を呼び掛けるため、出演したテレビ番組の生放送でトレードマークの口ひげをそり落としたのだ。ワシントンの政治家には珍しい口ひげだが、同氏は40年間もひげをたくわえていたという。

 MSNBCテレビのニュースショー、「モーニング・ジョー(Morning Joe)」に出演したアクセルロッド氏は、「てんかんのために、口ひげ以上の多くのものを失った人たちがいます」と述べ、100万ドル(約8200万円)の寄付を募るため、番組中に口ひげをそった。初めは番組司会者がそり始めたが、すぐにプロの理髪師がカミソリを手に登場。アクセルロッド氏は素人の仕事を免れた。

 この様子を見て、最初に寄付を名乗り出たの人たちの中には、驚くべき人物もいた。これまでオバマ大統領を厳しく批判してきた、不動産王のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏だ。番組に電話を入れた同氏は、「これは役立つ慈善活動だと思う」と話した。

 また、俳優のジョージ・クルーニー(George Clooney)やトム・ハンクス(Tom Hanks)、バスケットボールチームのオーナーで富豪のマーク・キューバン(Mark Cuban)氏なども寄付に名乗りを上げた。

 集まった募金は、アクセルロッド氏の妻、スーザン・ランダウ(Susan Landau)さんが代表を務める、てんかん研究のための市民連合(Citizens United for Research in Epilepsy)に寄付される。夫妻には、てんかんを患う娘がいる。

 アクセルロッド氏は、11月6日に行われた大統領選の数日前にも同じ番組に出演し、オバマ大統領がミシガン(Michigan)州、ミネソタ(Minnesota)州、ペンシルベニア(Pennsylvania)州などの選挙結果を左右する重要な州で敗北すれば、ひげをそると明言。しかし、オバマ大統領がこれらの州を制したことからその後、慈善活動のためにひげをそると約束していた。

 しかしながら、こうした行動にすべての人が感銘を受けているわけではない。「彼は口ひげをたくわえている多くのアメリカ国民にとって、まさに自由を導く輝ける光のような存在であり、非常に無責任だと思った」と話したのは、口ひげを推進する団体、American Mustache Instituteのアーロン・パーラット(Aaron Perlut)会長だ。ただし会長は、「また伸ばすということであれば、慈善活動のためのひげそりは支持できる」との考えをワシントン・エグザミナー(Washington Examiner)紙に示している。

 アクセルロッド氏がまた口ひげを伸ばすかどうかは明らかになっていない。(c)AFP