【12月3日 AFP】先週抽選が行われた、米国史上2番目の高額当選金5億8750万ドル(約450億円)をかけた宝くじ「パワーボール(Powerball)」で、確率1億7520万分の1の幸運を引き当てた当選者2組のうちの1組は、ミズーリ(Missouri)州ディアボーン(Dearborn)在住の整備士と失業中の妻だった。

 11月30日、ディアボーンの高校で開かれた記者会見で、1等当選金の半額に当たる2億9300万ドル(約240億円)の小切手を受け取ったマーク・ヒル(Mark Hill)さん、シンディ・ヒル(Cindy Hill)さん夫妻は、巨額の当選金に浮かれて舞い上がらないことを報道陣の前で誓った。

「私たちは他の人たちと同じ普通の人間。少しだけ多くお金が入っただけです」(シンディさん)

 息子3人と養女1人の一家全員で会見に現れたヒルさんらは、まだ驚きが抜け切っておらず、当選金をどう使うかまではあまり考えが及んでいないと語った。シンディさんは「すごく良いクリスマスが過ごせると思う。子どもや孫たち全員を連れてバカンスに出かけたい。それから子どもたち、孫、姪や甥がみんな大学へ行けるよう銀行口座を作りたい」と話した。一家はまた、当選金の多くを慈善事業に寄付することも考えているという。

■もう1組の「当たり」は誰?

 この宝くじではもう1本、アリゾナ(Arizona)州で販売されたくじ券が当選しているが、購入者はまだ名乗り出ていない。ただ、防犯カメラの映像に喜んで小躍りする当選者らしき人物が映っている。

 首都ワシントンD.C.(Washington, D.C.)近郊アッパーマルボロ(Upper Marlboro)にあるコンビニ・ガソリンスタンドでレジ係として働くフレディ・ロペス(Freddy Lopez)さんはAFPの取材に対し、店の防犯カメラに映っていた黄色い工事作業服を着た体格の良い男性について、近くに住む軍関係の得意客だと答えた。「彼は、くじ券を確認するまで(自分が当選者だと)知らなくて、自分が大金持ちになったことをこの店で知ったんだ。信じられなかったみたいだね。やった、やったと何度も叫んでいた」

 男性は繰り返し飛び上がり、喜びのあまりガソリンを入れに同店に立ち寄ったことも忘れていたという。また、地元テレビ局WJLAが伝えたところによると、この男性は周りにいた客に宝くじをアリゾナで買ったと話していたという。

 アリゾナ州の宝くじ関連局によると、当選者が名乗り出る権利の有効期間は180日間だという。

■偽の当選者?ネット上に写真出回る

 一方、インターネット上では、この2本目の当たりくじだとする券を手に持った男性の写真が出回った。ノーラン・ダニエルズ(Nolan Daniels)と名乗るこの男性は、交流サイト(SNS)のフェイスブック(Facebook)に「これからずっと働かないで済みそうだ」との書き込みと共に、写真を公開。この写真を共有した人の中から1人に「100万ドル(約8200万円)を贈る」と約束した。ただ、くじ券の番号の並び方が通常と異なるため「偽者」の可能性がある。

 米国では4月、メリーランド(Maryland)州ボルティモア(Baltimore)郊外にある米ファストフード大手マクドナルド(McDonald's)の店舗で働く7人の子を持つシングルマザーの女性(37)が、当選金が6億5600万ドル(約540億円)に膨れ上がった数字選択式宝くじ「メガミリオンズ(Mega Millions)」に当選したと主張し、話題になった。しかし結局、この女性は当選券を持って現れず、本当の当選者は3人でくじを共同購入した教師2人と学校職員1人だったことが後ほど判明している。(c)AFP/Mira Oberman