【11月30日 AFP】世界気象機関(World Meteorological OrganizationWMO)は28日、2012年の世界の気候は極端な気温や干ばつ、洪水、そして北極にある海氷の前例のない規模の融解といった異常気象が顕著で、気候変動に対する懸念がさらに高まっていると発表した。

 WMOによれば、2012年1月~10月の地球の表面温度は、観測記録が残っている1850年以降の同時期で9番目に高かった。この10か月間の地表と海面の温度は、1961~90年の同時期平均(セ氏14.2度)と比べ、約0.45度高かったという。

 WMOは「異常気象は世界規模で観測されたが、北半球の一部地域は複数の異常気象に見舞われた」と述べ、次の事例を挙げている。

■熱波

 米国、南欧、ロシアの大部分、北西アジアで発生。米国では、3月だけで各地の最高気温が1万5000回更新された。干ばつも多くの国々を襲い、中国の雲南(Yunnan)省と四川(Sichuan)省では約960万人が被害を受けた。

■洪水

 アフリカの西部とサヘル(Sahel)地帯の各地で7月~9月に発生し、300万人近くが被災、少なくとも300人が犠牲になった。ロシアのクラスノダール(Krasnodar)地方で7月に発生した洪水は200人近くの犠牲者を出し、6億3000万ドル(約516億円)相当の物的被害をもたらした。中国南部の一部地域では4~5月の降雨量が過去32年で最高となった。

■暴風雨

 カリブ海と米東海岸を襲った複数の暴風雨で甚大な被害が発生。大西洋沿岸を襲ったハリケーンの数は3年連続で例年平均を上回った。今年発生した熱帯低気圧は19個で、うち10個がハリケーンだった。

■海氷の融解

 WMOはまた、米雪氷データセンター(National Snow and Ice Data CenterNSIDC)が9月に発表したデータに基づき、北極の海氷が前例のないペースで融解していることについて警告した。

 北極の海氷は9月16日に340万平方キロまで縮小し、2007年に観測されたそれまでの最小記録よりも18%縮小した。この新記録は1979年~2000年の平均値より49%も小さく、インドの国土にほぼ等しい面積が融解したことになるという。(c)AFP/Daniel Johnson