【10月3日 AFP】香港(Hong Kong)のラマ島(Lamma Island)沖で電力会社の船が旅客フェリーと衝突し沈没した事故で、警察当局は2日、乗客らの安全確保を怠ったとして双方の船長と乗組員の計7人を逮捕した。

「国慶節」の花火見物のため乗員乗客120人余りを乗せていた電力会社「香港電燈(Hong Kong Electric)」の船が1日夜、ラマ島と香港を結ぶ定期フェリー「海泰(Sea Smooth)」号と衝突・沈没した事故は、地元当局によると30人が遺体で発見されたほか病院で8人の死亡が確認され、死者38人、負傷者100人以上を出す香港海難史上では1971年以来の惨事となった。

 警察などによると、香港電燈の船長と乗組員2人、およびフェリーの船長と乗組員3人が「法律で定められた船舶と乗員乗客の安全確保を怠った」として逮捕された。

 香港電燈を所有する香港一の富豪、李嘉誠(Li Ka-Shing)氏の息子は2日、声明で遺族にそれぞれ20万香港ドル(約200万円)を支払うと約束した。

 一方、フェリーを運航する港九小輸控股有言公司(Hong Kong and Kowloon FerryHKKF)の広報担当者はケーブルテレビを通じて、フェリー側の負傷者は「数人」と発表した。ラマ島からビクトリア・ハーバーへ向かっていたフェリーは事故後、ラマ島へ引き返して乗客を下ろし港に係留中だが、双胴船の左胴の船首部が大きく破損している。

 事故を受け、香港の梁振英(Leung Chun-ying)行政長官はハイレベルの事故調査委員会の設置を表明したが、世界の貿易・旅行の拠点として交通量が増加する香港の海事規則見直しの必要性については退けた。(c)AFP/Stephen Coates