【8月16日 AFP】(一部更新、写真追加)パキスタン北部カムラ(Kamra)にある空軍基地が16日未明、武装勢力の襲撃を受け、特殊部隊や治安部隊と激しい戦闘になった。空軍によると武装勢力は9人で、うち8人を基地内で殺害、1人が基地の外で自爆死したという。治安部隊側にも1人の死者が出たほか、1人が負傷、航空機1機が損傷した。

 襲撃が始まったのは午前2時(日本時間午前6時)ごろ。武装勢力は軍服姿で、銃やロケット砲で武装し、自爆用のベストを身に着けていた。空軍発表によれば戦闘は「2時間以上」続いたが、襲撃から10時間後に基地の安全は完全に回復したという。

 カムラの空軍基地は首都イスラマバード(Islamabad)から北西に約60キロメートルの位置にあり、ミラージュ(Mirage)戦闘機や中国と共同開発しているJF17戦闘機の製造を手掛けるパキスタン空軍の戦闘機製造部門の拠点となっている。

 犯行声明を出したグループは今のところないが、パキスタンでは2007年以降、イスラム武装勢力「パキスタン・タリバン運動(Tehreek-e-Taliban PakistanTTP)」が軍施設への襲撃を繰り返しており、同空軍基地も過去に2回、襲撃を受けている。折りしも、パキスタン政府が米国の要請に応じてアフガニスタン国境に近い部族支配地域の北ワジリスタン(North Waziristan)で武装勢力の掃討作戦を行う公算が大きくなっていた。

 関係者は同基地に核兵器はないと説明しているが、欧米諸国はパキスタンが開発した核兵器が武装勢力の手にわたる恐れを指摘しており、今回の襲撃に懸念を深める可能性もある。(c)AFP/Khurram Shahzad