【7月27日 AFP】1980年代から90年代に五輪に出場した中国の選手たちは、国を挙げた禁止薬物の使用(ドーピング)にさらされていたと語る中国体操選手チームの元医療担当者の談話が、27日付けのオーストラリア紙に掲載された。

 豪紙シドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)に語ったのは、1980年代に中国の五輪出場体操チームの医療責任者だった男性で、現在は引退している。

 この男性によると、中国がスポーツ大国として台頭し始めた同時期、ステロイドやヒト成長ホルモンの使用は「科学的トレーニング」の一環として公式に採用され、選手らはこれを受け入れなければならなかったという。大抵の場合、選手たちは何を注射されているのかを知らず、また関与を拒んだ医療スタッフは排除されたとした上で、「1980年代に(禁止薬物)は蔓延していた」と述べた。

 1990年代には中国選手による禁止薬物の使用が多く発覚したが、これについて中国政府は選手やコーチの個人的野心によるものだとする公式見解を示していた。しかし、この元関係者による発言はこれまでの政府見解と矛盾する内容であり、また体制内にいた人物が公の場で内情を明らかにしたのは初めてだと同紙は報じている。(c)AFP