【7月27日 AFP】オーストラリアの研究チームは25日、同大陸北部で多様な生物種の化石を大量に含んだ広大な鍾乳洞群を発見したと発表した。

 クイーンズランド(Queensland)州ケアンズ(Cairns)近郊で偶然発見された鍾乳洞からは、極小型の齧歯(げっし)類から体長2.2メートル、体重180キロと推定される巨大カンガルーまで様々な化石が見つかっている。小型生物はフクロウなどの捕食者によって洞窟内に運ばれ、また大型動物は地上に開いた穴などから転落したものと考えられる。

 これまでに120キロ分の堆積物を洞窟外に運び出しているが、この中に含まれている化石を調査するだけで1年はかかるという。クイーンズランド大学(University of Queensland)の古生物学者ギルバート・プライス(Gilbert Price)氏いわく、「化石の金鉱を掘り当てた」状態だ。

 古代には熱帯雨林であった鍾乳洞群が発見されたこの地域だが、現在は乾燥した草原となっている。発見されたうち最古の化石標本は推定50万年前のもの。これらの生物が生息した時期には豪州大陸中部で大規模な乾燥化が進み、熱帯雨林の後退から「絶滅事象」が起きたとみられている。

 その理由から、ここで発見された化石や生物の遺骸は、気候変動にいかに生物たちが適応し、現代の形態に進化していったのかを知るための重要なヒントを握るとプライス氏は考えている。「将来、現代の気候変動が私たちの周りの生命体にどのような影響を与えるのかについては、現代の動物相でモデルとなる環境に相当する時代がなく実際には分からない。(そこで)生物が過去にはどう対応したのかを理解できれば、未来に向けた自然保護のモデルとして用いることができる」と言う。

 地元の洞窟探検家たちは過去1週間でさらに多くの洞窟群を発見しており、その各所からは重要な化石が発見されている。プライス氏は「この地域には人生を何度も費やすほどの仕事」に相当する化石があるだろうと語った。(c)AFP