【7月13日 AFP】米ミュージシャン、ボブ・ディラン(Bob Dylan)が1965年のニューポート・フォーク・フェスティバル(Newport Folk Festival)で使用したエレクトリックギターを所有しているとニュージャージー(New Jersey)在住の女性が主張していることについて、ディラン側は12日、これを否定する声明を発表した。

 同フェスティバルでは、それまでアコースティックギターで「風に吹かれて(Blowin' in the Wind)」や「時代は変わる(The Times They are a-Changin')」などのプロテストソングを歌ってきたディランがエレキを抱えて登場したため、観客からブーイングを受け、わずか3曲を演奏しただけでステージを降りた。

 ディランの弁護士、オリン・スナイダー(Orin Snyder)氏によれば、ディランは1965年7月25日の同フェスティバルで使用したフェンダー製のストラスキャスターを現在も所有しているという。

 だが、今後放送予定のTVドキュメンタリーでは、同フェスティバルを後にしたディランが飛行機にギターを置き忘れ、この航空機の操縦士が自宅に持ち帰って屋根裏に保管していたというエピソードが紹介されている。

 このギターを持ち帰った操縦士のビック・クイント(Vic Quinto)さんは1977年に死去しているが、娘のドーン・ピーターソン(Dawn Peterson)さん(43)は、米公共テレビPBSのドキュメンタリー「History Detectives(歴史探偵)」の中で、父親が自宅にあったギターについて、ディランがうっかり機内に忘れたものだとよく話していたと述べている。

 ピーターソンさんは、米紙ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)に対しても「ギターはずっと屋根裏に置きっぱなしだったので、わたしを含めて誰も気に留めなかった」と語った。

 クイントさんの死後20年間、ギターは屋根裏に放置されていたが、ピーターソンさんが結婚した際に新居に持っていったという。そのギターがディランのものだとPBSのスタッフが確認するまで、クイントさんの家族は誰も父親の話が真実とは思えなかったようだ。

 これに対し、スナイダー氏はディランは現在もニューポート・フォーク・フェスティバルで使用したストラスキャスターを所有していると反論。さらに、同フェスティバルでは往復とも車を使い飛行機には乗っていないことも付け加えた。

 一方、スナイダー氏によれば、ディランは同じ時期にストラスキャスターを何本か盗まれており、このなかには歌詞が手書きされたものもあったという。

 このディランのギターをめぐるPBSのドキュメンタリーは、17日に放映される。(c)AFP