【7月4日 AFP】ドイツ・ミュンヘン(Munich)のルートウィヒ・マクシミリアン大学(Ludwig Maximilian University)で、初めて「アメリカ」という地名が書かれた約500年前の地図の写しが発見された。同大学の図書館員らが3日発表した。

 見つかったのはドイツの地図製作者マルティン・ワルトゼーミュラー(Martin Waldseemuller)が1507年に製作した地図の写しで、元になった地図は2007年にドイツから米国に引き渡され、現在はワシントンD.C.(Washington D.C.)の議会図書館(Library of Congress)が所蔵している。

 この地図の写しはこれまで4枚しか見つかっていなかった。5枚目の写しとなる今回見つかった地図は、長さ75センチほどある元の地図よりもかなり小さく、1522年に死去したワルトゼーミュラー本人が生前に製作したものとみられている。

 元の地図は国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の記憶遺産(Memory of the World)に登録されており、「アメリカの出生証明書」と呼ばれている。同大学はこの地図の写しは当時、地理学の知識を広める上で元の地図と同程度の重要性を持っていたとしている。

 これまでに知られていた写しのうち1枚は2005年に競売に掛けられ、100万ドル(約8000万円)で落札された。

 5枚目の写しは、蔵書を整理していた図書館員によって特に重要とも思われていなかった蔵書群の中から偶然発見された。16世紀前半に出版され、19世紀に再製本された2冊の幾何学書の間に挟まっていたという。

 同大学の図書館長は声明の中で、「私たちが暮らしているデジタル時代においても、これらの地図の重要性や類いまれな魅力は全く失われていない」と指摘した。今回見つかった地図は、7月4日の米独立記念日に間に合うようにデジタル化して一般公開する予定だという。(c)AFP