【6月29日 AFP】都内の新宿ニコンサロンで、名古屋在住の韓国人写真家、安世鴻(アン・セホン、Ahn Sehong)さんによる元従軍慰安婦の女性たちをテーマにした写真展が始まった。会場には安さんが撮影した写真37点が展示されている。

 28日、都内で記者会見した安さんは写真展開催について、慰安婦だった高齢女性たちの存在を多くの人たちに知ってもらう必要性を感じたためだと語った。

 この写真展をめぐっては、開催が報道された3日後の前月22日、サロンを運営するニコン(Nikon)が安さん側に会場使用の中止を通告。安さんの不服申し立てを受け、東京地裁が前週、予定通り会場を使用させるようニコンに求める仮処分命令を出し、開催にこぎつけた経緯がある。

 安さんは、1月に会場使用許可を出したにも関わらずニコンが中止を通告してきたたことについて、写真展のテーマが従軍慰安婦であることが新聞で報じられたことでニコンに抗議が殺到したためではないかと話した。写真展が始まった27日以降は安さん宅にも脅迫のメールや電話が急増し、安さんは家族を郊外に避難させたという。

 一方のニコン広報は27日、写真展について「諸般の事情を考慮した結果、写真展は中止させてほしいと安さんに伝えていた」と説明するにとどめた。写真展の会期は7月9日までだが、ニコンは東京地裁の仮処分に異議を申し立てているという。(c)AFP