【6月13日 AFP】映画『グリーン・デスティニー(Crouching Tiger, Hidden Dragon)』などへの出演で知られる中国の女優、チャン・ツィイー(Zhang Ziyi、章子怡)さん(33)が11日、失脚した当局高官らを相手に売春を行っていたという「事実無根の中傷報道」をされたとして、香港の主要中国語紙「蘋果日報(Apple Daily)」と姉妹週刊誌「壹週刊(Next Magazine)」に損害賠償を求める訴えを起こした。

 蘋果日報は5月29日付の紙面で、チャン・ツィイーさんが金銭の支払いを受けて、3月に失脚した重慶(Chongqing)市共産党委員会書記の薄熙来(Bo Xilai)氏や同氏と関係の深かった富豪の徐明(Xu Ming)氏らと「数え切れないほど」の性的関係を持ったと報じ、チャン・ツィイーさんを「売春婦だ」と評した。

 さらに同紙は、チャン・ツィイーさんが他の当局高官や富豪らと性的関係を持っていたと主張し、10年間に及ぶ不道徳な密通により7億人民元(約87億円)の財を築いたと報じた。

 チャン・ツィイーさん側は訴状で「原告は公衆からの非難、憎悪、軽蔑、冷笑にさらされた。また原告のイメージも深刻かつ継続的に傷つけられており、現時点までに原告の職業とキャリアに損害がもたらされている上、今後も損害が及ぼされるだろう」と述べている。

 蘋果日報はセレブのきわどいゴシップと、中国共産党当局への強力な批判姿勢で知られる新聞。同紙はAFPの取材に応じなかった。問題の記事は、チャン・ツィイーさんが前月、訴訟する意向を示して以降、ウェブサイトから削除されている。

 薄熙来氏は3月に重慶市の共産党委員会書記を解任された後、汚職への関与を意味する「重大な規律違反」により、党中央の政治局員と中央委員の職務を停止された。それ以降、薄氏の姿は確認されていない。

 また薄氏の妻、谷開来(Gu Kailai)氏は英国人実業家の殺害を命じた容疑で拘禁されている。

 チャン・ツィイーさんはまた、現在自分が中国当局の捜査を受け、出国を禁じられているとの蘋果日報の報道についても否定した。(c)AFP