【5月31日 AFP】ベルギー・ブリュッセル(Brussels)に駐在するフランス語メディアの特派員らは30日、欧州委員会(European Commission)が発表した欧州連合(EU)加盟国の財務状況報告書が英語版しかなかったことに強く反発した。

 欧州委員会が発表したのはEU加盟27か国の財務状況についての1500ページにわたる報告書で、発行が強く待たれていた。報告書には、欧州の一部の経済大国を脅かす債務危機に対処するための各国の財政再建に向けた提言も盛り込まれている。

 仏紙リベラシオン(Liberation)のジャン・カトルメール(Jean Quatremer)特派員は欧州委員会に電子メールで次の抗議文をフランス語で送った。

「またしても、今日発行された全ての資料は英語版しかない。これは受け入れ難いことだ」

「なぜアングロサクソン系メディアが他のメディアに対し、これほどの信じ難い競争優位性を享受しているのか理解できない。欧州委員会が(他言語での資料を作る)労力をかけられない実際上の理由も見当たらない」

「EU執行部が要求する社会的犠牲や予算上の犠牲に関する情報が母語で入手できることは最低限の権利だ」

 フランス系メディアの大半もカトルメール氏の抗議を支持している。欧州委員会の報道官はAFPに対し、報告書の翻訳版を発行予定だと述べた。

 欧州委員会は加盟国政府に経済改革を命じる力を強めているが、英語で書かれている経済誌エコノミスト(The Economist)の特派員も「(英語版のみの発行は)フランスに改革を命じるより侮辱的だ」とツイッター(Twitter)上に投稿して抗議に賛同した。(c)AFP