【2月24日 AFP】米スミソニアン協会(Smithsonian Institution)は22日、首都ワシントンD.C.(Washington D.C.)のナショナル・モール(National Mall)で、アフリカ系米国人の歴史と文化にテーマを絞った初の国立博物館の着工式を行った。

 2015年にオープンする「国立アフリカン・アメリカン歴史文化博物館(National Museum of African American History and Culture)」は、奴隷を所有していた初代大統領ジョージ・ワシントン(George Washington)の功績を称えて建造されたワシントン記念塔(Washington Monument)の目と鼻の先に建設される。

 米国初のアフリカ系大統領、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領も出席した着工式で、ロニー・バンチ(Lonnie Bunch)館長は、「博物館は、全国民がアフリカ系アメリカ人の文化を記憶にとどめ、称賛する場でありたい」と述べた。

 西アフリカ・ヨルバ(Yoruba)族の伝統美術と建築物に着想を得た建物は、ブロンズ製の壁で覆われる。設計は、タンザニア出身でロンドン(London)を拠点に活動する建築家デイヴィッド・アジャイ(David Adjaye)氏らの手によるもの。

 収蔵品はすでに2万点以上が集められており、この中には、19世紀の奴隷解放運動家ハリエット・タブマン(Harriet Tubman)が使用した肩掛け、ロックンロールの先駆者チャック・ベリー(Chuck Berry)が乗り回していた赤いキャデラック(Cadillac)、ソウル・レジェンドのジェームズ・ブラウン(James Brown)が着用したジャンプスーツのほか、鉄道会社プルマン(Pullman)の人種隔離用の客車、第二次大戦時に黒人戦闘機パイロットの訓練に使用されたステアマン(Stearman)複葉機など、多種多様な品々が含まれている。

 白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(Ku Klux KlanKKK)」のメンバーが着用した衣装2着も展示する予定だ。

■入場料は無料

 総工費5億ドル(約400億円)の同博物館建設プロジェクトは、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)政権下の2003年、連邦議会により承認された。プロジェクト予算の半分は国費で賄われ、残り半分は企業などから寄付を募る。

 入場料は、スミソニアンの他の18施設同様、無料となる予定。(c)AFP/Robert MacPherson