【2月23日 AFP】オーストラリアのケビン・ラッド(Kevin Rudd)外相は22日、訪問先の米ワシントンD.C.(Washington D.C.)で、ジュリア・ギラード(Julia Gillard)首相からの支持なしに外相職を続けることはできないとして辞意を表明した。

 ラッド外相の劇的な辞意表明はオーストラリアに生中継された。この中でラッド外相は、自身の尊厳を維持するために残された道はもはや辞任しかないと語った。オーストラリアではギラード首相がラッド外相解任の準備を進めているとの報道が飛び交っていた。

 ギラード首相は2010年に当時のラッド首相を追い落とす形で首相に就任した。だが、有権者の間で人気が高いラッド外相は再び首相の座を狙っているとの臆測が飛び交い、豪与党・労働党(Labor Party)は分裂している。

 ラッド外相は今後の去就について、24日に帰国した後に家族や地元の支援者、同僚議員らと相談すると話した。

■ギラード首相は党首選で応じる

 これに対しギラード首相は23日、議会が再開する27日の午前10時(日本時間同8時)に労働党の党首選を実施すると発表し、あくまでラッド外相と争う姿勢を鮮明にした。

 ギラード首相は立候補する意向を示し、労働党議員の大きな支持を期待すると述べた。ギラード首相は、党首選で敗れた場合には将来、再び党首に立候補することはないと述べ、ラッド氏についても同様の覚悟で臨むことを求めた。
 
 ラッド外相も、ワシントンでの辞意表明の中でギラード首相が党首では労働党は2013年の総選挙に勝てないと言い切っており、首相復帰への意欲をにおわせている。

 だが、現在の党内における数の論理からすればラッド外相の勝算は低く、党首選に負ければ議会で求心力を失う可能性が高い。議員辞職し、ラッド外相の地元クイーンズランド(Queensland)州グリフィス(Griffith)の選挙区で労働党としては望ましくない補欠選挙に持ち込むという選択肢も考えられる。

■広がる党内の亀裂

 豪各紙によると党首選の投票権を持つ労働党議員103人のうち、ギラード首相支持を表明しているのは49人、ラッド外相37人、態度未定が17人となっているが、情勢は日々変化している。

 与党内の亀裂は深刻さの度を増している。ギラード首相を支えるためとして今週末にメキシコで開かれる主要20か国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議への出席を取りやめたウェイン・スワン(Wayne Swan)財務相は、一般の人たちにラッド氏の欠点は見えないが、ラッド氏には「深刻な欠点」があると述べた。

 一方、ダグ・キャメロン(Doug Cameron)上院議員はラッド氏支持を表明している。クリス・ボーウェン(Chris Bowen)移民・市民権相やアンソニー・アルバニーズ(Anthony Albanese)運輸相もラッド外相を支持していると報じられている。(c)AFP