【2月17日 AFP】副鼻腔炎の患者に抗生物質を投与しても、ほとんど効果がないとする研究結果が、15日の米国医師会雑誌(Journal of the American Medical Association)に発表された。論文を発表した研究者らは、抗生物質の過剰使用がもたらす危険性について警鐘を鳴らしている。

 論文を発表した米ワシントン大(Washington University)の研究チームによると、鼻腔が炎症を起こす副鼻腔炎の治療では抗生物質を処方する方法が一般的だが、効果が十分に証明されていなかった。米国では、成人に処方される抗生物質の5分の1が副鼻腔炎の患者向けで、患者の多くもこうした治療を期待するようになっているという。

 研究チームは、急性単純性副鼻腔炎の成人患者166人を対象に、一般的に使用されている抗生物質、アモキシシリンを与えるグループとプラシーボ(偽薬)を与えるグループに分け、効果を比較した。なお、患者は鼻水などの症状が7~28日間続いており、症状の重さは中度、重度、極めて重度の3タイプに分かれた。

 実験の結果、アモキシシリングループで回復が早まったり症状が軽減されたりといったことは確認できず、プラシーボグループとの間で症状に顕著な違いは見られなかった。

「これらの結果は、基本的な副鼻腔炎では抗生物質が必ずしも必要ではないことを示している。大半の患者は自力で回復する」と、研究者は述べた。

 論文は、抗生物質の使用は「症状が重度か極めて重度の患者」に限定すべきだと指摘。また、今回実験で使用したアモキシシリンなどの抗生物質を処方する代わりに、痛み、せき、うっ血などの症状の処置を行いつつ追加治療が必要かを注意深く見極めるという方法を提唱している。(c)AFP