【2月2日 AFP】南米ペルーの自然保護当局は1月31日、アマゾン(Amazon)川流域の熱帯雨林で外界と接触せずに非文明的な生活を続ける先住民マシコ・ピロ(Mascho-Piro)人の写真がネット上に公開されたことをうけ、マシコ・ピロ人の居住地域に近づかないよう勧告した。

 写真は、未接触部族マシコ・ピロ人の一家の様子をとらえたもので、世界各地の先住民保護活動NGO「サバイバル・インターナショナル(Survival International)」がウェブサイトで公開した。前年末ごろ、ブラジルとの国境に近いペルー南東部にあるマヌー国立公園(Manu National Park)内で考古学者と同NGOの後援者によって撮影されたとされる。

 自然保護区管理事務局(SERNANP)のマリエラ・ウアチージョ(Mariela Huacchillo)氏はAFPの取材に対し、マシコ・ピロ人らとの接触が間接的なものであっても、致死性ウイルス感染が拡大する恐れがあると説明。また、マシコ・ピロ人の居住地域内に食べ物や衣服などを置いていかないよう忠告した。地元住民や観光客らがしばしば、先住民とお近づきになろうとして、こうした「贈り物」を渡そうとするのだという。

 マシコ・ピロ人は攻撃的な行動に出ることもあると、ウアチージョ氏は警告する。

 前年10月には、国立公園保護官がマシコ・ピロ人が放った矢で軽傷を負った。これはマシコ・ピロ人たちに接近しすぎたために放たれた「警告」だという。2010年にも、マシコ・ピロ人のやりで10代の若者が負傷する事件が起きている。

 サバイバル・インターナショナルもウェブサイト上で、マシコ・ピロ人の小集団に20年間、食料などの生活物資を調達していた地元住民のニコラス・フローレス(Nicolas Flores)さんが前年末、マシコ・ピロ人の矢に撃たれて死亡したと伝えた。ペルー政府はこの事実を確認していない。

 サバイバル・インターナショナルは1年前にも、同じアマゾン森林地帯のブラジル側に住む未接触部族の写真を公開している。

 ペルー政府は、アマゾン森林地帯のペルー領域内には15部族ほどの未接触部族が存在するとみている。また、サバイバル・インターナショナルによれば、世界各地には100を超える未接触部族がいるという。

 また、最近の数か月間、マシコ・ピロ人を目撃したとの情報が急増していることから、同NGOは、国立公園内外での不法伐採や近郊で進むガス・石油開発に関連したヘリコプターの低空飛行などで、マシコ・ピロ人が森林での居住地を追われているのではないかと懸念している。(c)AFP