【12月13日 AFP】政府軍による反政府デモ弾圧が続くシリアで12日、地方議会選挙の投票が行われた。一方、国連(UN)は同日、弾圧による死者が5000人を超えたと発表した。

 反体制側は前日からシリア全土にゼネストを呼びかけ、選挙の実施に圧力をかけているが、選挙管理委員会は「投票は民主主義精神に乗っ取って行われた。投票率も良好だ」と発表し、選挙の成果を強調。アドナン・マフムード(Adnan Mahmud)情報相は、選挙は先に約束した民主化改革の一環だと主張している。

 英国に本部を置く「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、地方選があった12日にも、ホムス(Homs)やイドリブ(Idlib)などで政府軍と市民の衝突があり15人が殺害された。イドリブでは、政権側が市民に投票を強制していたという。

 反体制派のストは、首都ダマスカス(Damascus)やバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領への抗議運動の勃発地ダルアー(Daraa)などで行われたが、選挙の阻止には至らなかった。

 ある反体制派の男性は、AFPに対し、このような混乱した状況のなかで選挙を強硬したことに驚いていると述べ、反政府運動が起こっている都市では選挙どろこではなく、投票率が上がるはずはないとの見方を示した。この男性は、投票が実施されたのは反政府運動がほとんど見られないアレッポ(Aleppo)などの都市に限定されるだろうと語った。

 一方、国連のナバネセム・ピレイ(Navanethem Pillay)人権高等弁務官(UN High Commissioner for Human Rights)は同日、ニューヨーク(New York)の安全保障理事会で、9か月におよぶシリア政府の弾圧による死者が5000人を超え、約1万4000人が身柄を拘束されたほか、約1万2400人が近隣諸国へ避難していると発表した。

 安保理に出席した外交官によると、ピレイ氏はシリアの現状を「容認できるものではない」と評し、「国際社会が何もしなければ、シリア政府(の弾圧)を助長するだけだ」と述べて各国に行動を促した。(c)AFP