【11月29日 AFP】スイスフラン高で大打撃を受けているスイスの観光産業は、今、新たな試練に直面している。スイスアルプスの深刻な雪不足だ。

 スキー場の関係者らは、予約を先延ばしにしているスキー客らを取り込もうと、祈る思いで初雪を待っている。

 昨シーズンには100万人の宿泊客を集めた南西部のクラン・モンタナ(Crans Montana)では、今シーズン、まだ一度も降雪がない。広報担当者は、「オープンの日にちはまだ確定できません。雪が降り始めるか、人工雪を降らせるのに適した気温になるかを、見極めているところです」と話した。

 南東部のダボス(Davos)も同じジレンマを抱えている。雪は前月に少しばかり降っただけ。50あるゲレンデのうちオープンできたのは7つだけで、しかも、人工降雪機の助けを借りなければならなかった。

 気象予報士によると、スイスとスイスアルプスの雪不足は、勢力の強い高気圧により乾燥状態が続いていることが原因だ。スイスアルプスでは前月16日以来、雨が一滴も降っていない。ダボスの秋を通じての降雨量は、わずか0.6ミリだ。

 例年はこの時期になると約25センチの積雪がある東部のスキーリゾート、アローザ(Arosa)でも、雪はない。

■特典を用意するスキーリゾート

 スイス気象庁の専門家は、今週半ばには必ず寒気が訪れると予測した。だが、降雪量は現時点ではわからないという。

 スイスフランは対ユーロで約3%、対ポンドで約4%高くなっている。この影響で、スイスのリゾート地での滞在は一層高くつくようになった。国内ホテルの宿泊客の60%は外国人で、うち半分はユーロ圏から来ていることもあり、スイス政府は観光産業に1億スイスフラン(約85億円)の支援を行った。

 スキーリゾート側も外国から観光客を呼び込むための努力をしている。ダボスでは、ホテルを予約するともれなくリフト券がついてくる。クラン・モンタナの観光局は、ホテルの宿泊料金を大幅に値下げした。(c)AFP/Andre Lehmann