【10月25日 AFP】(写真追加)米航空宇宙局(NASA)のスピッツァー宇宙望遠鏡(Spitzer Space Telescope)と広域赤外線探査衛星「WISEWide-field Infrared Survey Explorer)」による観測で、記録上最古の超新星についての謎を解明したという論文が、24日の米天文学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル(Astrophysical Journal)」電子版に掲載された。

 中国には、今から約2000年前の西暦185年に天文学者らが「客星」(空に突然表れ、しばらくの間光り続ける星)を見つけたとする記録が残っている。この客星は約8か月光り輝いていたという。1960年代までにこの謎多き星は人類史上初めて記録に残された超新星だと断定され、その後、地球から約8000光年離れている超新星残骸RCW 86がこの超新星爆発で生まれたことが分かった。

 論文の主執筆者、米ノースカロライナ州立大(North Carolina State University)のブライアン・ウィリアムズ(Brian Williams)氏によると、この超新星残骸の大きさは、約2000年前に観測された超新星について通常考えられるより2~3倍大きかった。その理由は謎だったが、物質の密度が低い宇宙空間で超新星爆発が起きたため、その際に放出された物質が通常より速く、遠くまで移動できたためだったことが今回の研究で明らかになった。

「宇宙の知見を広げてくれた多数の観測で、われわれはこの星の壮絶な最期の裏に隠されていた、目を見張るような物理現象をよく理解できるようになった。だが宇宙に畏敬の念を抱いているという点では私たちも古代の天文学者たちと同じだ」と、米ワシントンD.C.(Washington D.C.)のNASA本部でスピッツァー宇宙望遠鏡とWISEのプログラムに携わったビル・ダンチ(Bill Danchi)氏は話した。(c)AFP