【9月29日 AFP】1970年に米ニュージャージー(New Jersey)州の刑務所から脱獄し、航空機をハイジャックしてアルジェリアへ逃亡した後、40年間にわたって行方をくらましていた殺人犯が26日、ポルトガルで身柄を拘束された。米連邦捜査局(FBI)が27日、発表した。

 FBIによると米政府は現在、ポルトガル当局に拘束されたジョージ・ライト(George Wright)受刑者の身柄引き渡しを求めている。受刑期間の残りは15~30年間だという。

 ライト受刑者は62年11月23日、共犯3人と連続武装強盗を開始。ニュージャージー州でガソリンスタンドを襲撃した際、ライト受刑者ともう1人の共犯の男が第2次世界大戦の退役軍人を射殺した。

 ライト受刑者はまもなく逮捕され、裁判では罪を認めたが、70年8月に同州ベイサイド州立刑務所から他の受刑者3人とともに脱獄。アフリカ系米国人の共産主義武装集団、黒人解放軍(Black Liberation Army)に紛れ込み、2年間姿を隠していた。

 その後、72年7月31日に5人組でデトロイト(Detroit)発マイアミ(Miami)行きのデルタ航空(Delta Air Lines)の国内線をハイジャックし、乗客の身代金として100万ドルを要求。身代金が支払われると、デルタ機をボストン(Boston)へ向かわせ、燃料を補給して新たにパイロット1人を人質に加えると、大西洋を越えてアルジェリアへ向かい、そこで亡命を求めた。旅客機と身代金はアルジェリア当局に押収され、米国へ返還されたが、ハイジャック犯たちは短期間拘束されただけで、釈放された。

 次に彼らがメディアをにぎわせたのは76年5月で、フランス警察がハイジャック・グループを拘束した時だったが、このとき拘束されたのは4人で、ライト受刑者の姿はなかった。以後、今回ポルトガルで拘束されるまで、ライト受刑者の逃亡劇は続いていた。(c)AFP