【9月5日 AFP】5日、米国を除く世界各地のグーグル(Google)検索トップページには、この日が生誕65周年となる伝説的ロックバンド「クイーン(Queen)」のフロントマン、故フレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)をしのぶロゴが掲載された。――インターネット業界に君臨する「巨人」の人間的な側面を見せる、最新の「ドゥードゥル(doodle、いたずら書き)」だ。

 ロゴをクリックすると始まるアニメーション動画は、もともと簡素なイラストから始まった「ドゥードゥル」の進化が新たな境地に到達した証しだ。

「楽しくておどけたモノをいっぱい詰め込んで、フレディがどれほど非凡な作曲家で、ファッションリーダーで、音楽の革新者だったかを祝福したんだ」と、ドゥードゥル制作チームを率いるライアン・ガーミック(Ryan Germick)氏は米カリフォルニア州マウンテンビュー(Mountain View)のグーグル本社でAFPの取材に語った。

「フレディ・マーキュリーは最高のパフォーマーで、野心的なクリエイターで、実に斬新なコンセプトアルバムの開拓者だった。僕らはただ彼を愛しているのさ。ここ数か月はずっとクイーンを大音量で鳴らしていて、いつも楽しかったよ」

 ちなみに、米国では9月の第1月曜日は「レーバーデー(労働者の日、Labor Day)」の休日にあたるため、このドゥードゥルの表示は6日に先送りされた。

■ちょっとした発想から誕生したドゥードゥル

 シンプルさでよく知られたグーグル検索トップに初めてドゥードゥルが掲載されたのは、同社がまだ駆け出しだった1998年のこと。共同創設者のラリー・ペイジ(Larry Page)氏とセルゲイ・ブリン(Sergey Brin)氏が制作したもので、2人が米ネバダ(Nevada)州ブラックロックデザート(Black Rock Desert)で行われるイベント「バーニングマン(Burning Man)」に赴き、会社を留守にしていると知らせる内容だった。

 ガーミック氏の説明によれば、このドゥードゥルの掲載目的は「もし仮にサーバーがメルトダウンしてしまった場合、僕らはいま砂漠に出かけているけれど数日中に帰ってくるよ、と利用者に教えること」だったという。

 しかし、このちょっとしたいたずら書きのアイデアは、創造性と技術力にあふれたグーグル社内で大人気を博し、まもなく社員たちが競うように美麗なイラストでドゥードゥルを描くようになった。

「ウェブサイトに人間味を加える方法さ」とガーミック氏。「僕たちはここにいるよ、僕たちも人間で、君たちと同じようなものが好きなんだよと利用者に伝える機会なんだ」

■「誰かを10秒だけハッピーに」、技術とアートの融合

 ガーミック氏がチームに参加して以降、ドゥードゥルには双方向性が加えられるようになった。ゲーム「パックマン(Pac-Man)」の実際に遊べるロゴは大ヒットとなり、専用のウェブページが作られたほどだ。

 新たにチームに加わり、ドゥードゥルに命を吹き込んだのは、グーグルのソフトウエアエンジニア、クリストファー・ホム(Kristopher Hom)氏だ。パックマンの他、フランスの冒険小説家ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne)の生誕記念日には有名な小説にちなみ、ユーザーが潜水艦で海へ潜れるアニメーションを作った。エレキギターの生みの親、レス・ポール(Les Paul)へのトリビュートは、演奏可能なバーチャルギターだった。

「僕にとってドゥードゥルは、誰かを10秒間だけハッピーにできる機会なんだよ」とホム氏は言う。「ウェブブラウザを立ち上げた人は1日の始まりに、今まで知らなかった人のことを知ったり、ウェブ上でこんな技術が可能になったんだと気付いたりするんだ」

 彫刻家アレクサンダー・カルダー氏のドゥードゥルは同氏代表作の3Dグラフィックスで、ユーザーがカーソルで動かすことができた。前述のヴェルヌの潜水艦は、加速時計の操作が可能で、加速時センサー搭載型ノートパソコンなら、パソコンを傾けると潜水艦を動かせる仕組みになっていた。

■「楽しもうというDNA」がグーグルの魅力

 アイデアは、ユーザーからの提案もあれば、ガーミック氏のチームメンバーたちの個人的な情熱から生み出される場合もある。「僕たちを触発した人びとや、祝いたいとワクワクするような出来事については、すごく長いリストがあるよ」

 ガーミック氏は、「楽しもうというグーグルのDNAから、このチームは生まれたのだろう」と語った。「食事がタダだということを脇に置くと、グーグルで働いていて何が最高かって言えば、この『楽しもう』という気持ちを会社トップが持っていることだね」

 ガーミック氏は、自分のチームについて「数千人のエンジニアを意のままに使える一握りのアーティストたち」で「ギーク(コンピューターマニア)とアーティストの中間にいる」と表現した。

 ドゥードゥルは検索ページではたった1日しか表示されないが、ウェブサイト「google.com/logos」には過去の全てのドゥードゥルを閲覧できる。(c)AFP/Glenn Chapman

【参考】グーグル:過去のドゥードゥルを集めたページ