【7月28日 AFP】中国東部浙江(Zhejiang)省温州(Wenzhou)郊外で起きた高速鉄道事故の原因について、信号の欠陥だったとする安路生(An Lusheng)上海鉄道局長のコメントを、国営新華社(Xinhua)通信が28日報じた。

 安局長は、中国政府の事故調査チームの会合で「信号が(停止を示す)赤色に変わらなかった」と説明したという。

 死者39人を出した今回の高速鉄道事故をめぐる当局の対応に批判が高まるなか、中国政府は27日の閣議で、事故原因を調査し結果を公表するよう関係部署に指示。温家宝(Wen Jiabao)首相は「調査はオープンで透明なもので、その結果は一般に公表しなければならない。また、誠実で責任ある説明がなされなければならない」と言明した。

 さらに政府は、炭鉱、建設、危険な化学薬品を扱う産業に対しても、安全の強化を指示した。温首相は28日、事故現場を視察する。

■止まらないネット・メディアの批判

 当局の対応については犠牲者の親族やインターネットユーザーに加え国営メディアの間でも、隠ぺいではないかとして批判が高まっている。

 ネット上では、追突した列車の運転手に対してなぜ事前に停止の指示がなかったのか、実際の死者数は当局発表より多いのではないか、高速鉄道は開発を急ぎすぎたのではないかなど、疑問点を明らかにするよう求める声が相次いでいる。

 報道によれば中国メディアには当局から事故報道に関して一線を越えないよう通達が出されたというが、それにもかかわらず主要国内紙の1つ環球時報(Global Times)は、27日も中国語版、英語版双方の社説で、当局の対応を「傲慢(ごうまん)」「官僚的」と批判した。

 政府は、被害者1人あたり50万元(約605万円)の賠償金を支払うと発表し、鉄道局高官3人を更迭したが、中国国民の怒りは収まらない。国営紙「中国日報(China Daily)」は28日、遺族の多くが事故原因が究明されるまで賠償金の受け取りを拒否したと伝えた。

 中国版ツイッター「新浪微博(Sina Weibo)」が実施した世論調査では、97%が事故に関する鉄道局発表を信じていないと答えている。(c)AFP