【6月20日 AFP】北大西洋条約機構(NATO)軍は19日、リビアの首都トリポリ(Tripoli)で同日未明に実施した空爆で誤った標的を攻撃し、市民9人が死亡したことを明らかにし、遺憾の意を表明した。犠牲者のうち2人は幼児だという。NATO軍がリビアで行った空爆で民間人の犠牲者が確認されたのは初めて。

 空爆跡を調査したカダフィ政権側は19日朝、市民に犠牲者が出たとNATOを批判。これに対し、NATO側は誤って目的とは異なる標的を攻撃したとみられると説明した。

 カダフィ政権は同日未明、外国人記者らをトリポリ市内の誤爆現場に案内した。誤爆されたとされる2階建て住居の跡では、救援隊や市民ががれきの中で必死の救出作業を行っていた。AFP記者も現場で2遺体を確認した。

 記者らは市内の病院にも案内された。病院には、女性1人と幼児2人の遺体が安置されていたが、政権側の担当者によると、3人は誤爆で死亡した家族だという。

 このほか、政権のムーサ・イブラヒム(Mussa Ibrahim)報道官によると通行人4人が死亡しており、今回の誤爆の死者は9人、負傷者は18人だという。

 NATO軍は16日にも、東部ブレガ(Brega)で誤ってパトロール中の反体制派の車列を空爆したばかりだ。(c)AFP