【5月31日 MODE PRESS】繊細でユニークなシルバージュエリーを手がけるデザイナーのウーゴ・カッチャトーリ(Ugo Cacciatori)が、新作披露の時期にあわせて来日した。ブランドのストーリーや待望の新作コレクションについて語った。

■物語のように展開していくブランド

 「ウーゴ・カッチャトーリ」は7、8年前、ファッションブランドのコンサルタントや個人向けのジュエリー製作を経て、とても自然な流れでスタートしました。アーティストとして、“シーズン”で区切られてしまうファッションの展開に疑問を感じ、自分の表現や作品は“ずっと続くもの”であるという思いから、独自の展開スタイルをとっています。第1章、第2章と続く物語のように展開していくのです。

 ファンには、本を1巻から順に揃えていくように、各コレクションのピースを収集してほしい。もちろん、物語を知らずに手に取る人のことも忘れず、美しく、意味のある作品を作っています。

■一貫性を持ち、進化していく

 ブランドは、スタートした頃からバロックやロマンテックといった独自のテイストがあります。そこには“ウーゴ・カッチャトーリらしさ”があり、少し突拍子もないような作品でもみな私の作品だと気付いてくれます。建築を学んでいたこともあり、著名建築家のフランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)らと同様、日本のミニマリズムやモダニズムからもインスピレーションを得ています。

 物語を遡るようなことはありませんが、スカルや剣など同じモチーフは繰り返し登場します。しかし、章を追うごとに進化しています。例えばゴールドを用いたり、シルバーと相性が悪いと言われがちなダイヤモンドとも組み合わせたり。しかし、ダイヤを散りばめた高価なピースも、小さなピースも、どれも自分の表現であり、物語の一部です。

■ジュエリーを通じてできること

 最近は、自分のジュエリーを通して何か知識や教養を伝えたいと思っています。例えばジュエリーをつくる職人の技術やや素材についてなど。私が生まれた70年代と現代では、世界は大きく変わりました。日本はもちろん、東西対立後のロシアや現在の中国は、ファッションやラグジュアリーの分野で急速に洗練されてきました。“美”にはなにか超越した力があるのです。

■第6章目で陸上へ、テーマは森の中の墓場

 今回のコレクション、第6章では初めて舞台が陸上になります。ブランドをスタートしてから7、8年間、ずっと海にいたので頭の切り替えには少し時間がかかりました。モチーフはスカルや剣、花、葉、オオカミなどです。“森に入ると骸骨があり、さらに花や剣を見つけてそこが墓場だと気付く、、、”というようなストーリーです。オオカミは物語で悪役になりがちですが、私の地元に伝わる聖フランチェスコの話にちなんで味方として登場します。

 そして、次の章では、オオカミを連れてさらに森の奥へ行きます。そのほかにも色々アイデアが浮かんでいますが、言ってしまったらつまらないので秘密です。是非注目してくださいね。【鈴木奈央】(c)MODE PRESS

【関連情報】
ウーゴ・カッチャトーリ 公式サイト