【5月25日AFP】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は24日、米連邦議会の上下両院合同会議で演説し、パレスチナとの中東和平交渉に関して、ユダヤ人入植地を一部撤退させる方針を示しつつも、国際社会が提案している「67年境界線」案を拒絶する姿勢を改めて強調した。

 バラク・オバマ(Barack Obama)大統領と国際社会は、暗礁に乗り上げている中東和平交渉を再開させるため、イスラエルとパレスチナの境界線を1967年の第3次中東戦争前の状態に戻すことを交渉の前提とするよう提案しているが、ネタニヤフ首相はこれを断固拒否している。

 ネタニヤフ首相はまた、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長と、ガザ(Gaza)地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)が統一政府の樹立で合意している限り、イスラエルが和平交渉の席に戻ることはないと断言。交渉の真の障害は、パレスチナ側がユダヤ国家としてイスラエルを認めることを拒否しているせいだと主張した。

 ネタニヤフ首相は、イスラエル国民に「正直」であらねばならないとし、「この衝突を終わらせるいかなる和平協定においても、イスラエル側の国境を越えて入植地は残るだろう」と述べる一方、「将来のパレスチナ国家の大きさについては、わが国は非常に寛容でありたい」とも語った。

 しかし、「67年境界線案」やエルサレム(Jerusalem)分割案については、これまでと同様に却下した。パレスチナ側は将来、パレスチナ国家を樹立した際には東エルサレムを首都することを望んでいるが、ネタニヤフ首相は「エルサレムを再び分かたれることがあってはならない。エルサレムは1つのままイスラエルの首都であらねばならない」と述べた。

 ネタニヤフ首相の演説に対しては、議場内でたびたび拍手が起こり、少なくとも20人の米議員が終了後に起立して喝采した。(c)AFP/Gavin Rabinowitz