【4月30日 AFP】リビア政府軍が反体制派の西部拠点ミスラタ(Misrata)に攻勢をかけるなか、同国最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐は30日、退陣を拒否し、欧米各国に対話を呼び掛けた。

 カダフィ大佐は30日早朝のリビアのテレビ放送で、北大西洋条約機構(NATO)は「ムアマル・カダフィが退陣するというあらゆる期待を放棄すべきだ」と忠告した。

 カダフィ大佐は「わたしには辞めるべき公務などないし、国を去ることもない。死ぬまで戦うつもりだ」と述べる一方で、「フランスや米国と話し合いをする準備がある。ただしあらゆる前提条件なしにだ」と呼び掛けた。

「われわれは降伏しない。だが交渉を呼び掛けよう。原油が欲しいのなら、君たちの企業とサインをしても良いのだ。そんなもの、戦争をする価値のあることではない」と、カダフィ大佐は語った。

 さらに「リビア国民同士であれば、攻撃し合うことなしに問題を解決できるのだ。だから艦艇や戦闘機を撤退させよ」と、NATO軍の撤退を求めた。

 また、カダフィ大佐は自らが国民に愛されていることを強調し、自分は国民にとって父親のような存在だと語り、「日本の天皇陛下よりも国民に崇拝されている」と述べた。

■カダフィ軍のミスラタ攻撃続く

 一方、政府軍は、首都トリポリ(Tripoli)の東215キロの距離にあるミスラタに対し、戦車で攻撃を開始した。

 反体制派の戦闘員は29日、「戦車4台が(ミスラタ)市内を攻撃している。うち1台は破壊した」と語り、AFPの特派員たちも、ミスラタの空港方面から連続して爆音が聞こえたと述べた。また、ミスラタの主要病院には負傷者が次々と運び込まれているという。

 さらに、カダフィ体制は、ミスラタ港に入港しようとする船舶はすべて攻撃すると警告した。

 ミスラタ港は人口50万人の同市に人道支援物資を届けるために不可欠な港だが、カダフィ軍は7週間にわたってミスラタの奪還を目指している。(c)AFP/Afaf Geblawi