【4月28日 AFP】米キリスト教系支援団体「サマリタンズ・パース(Samaritan's Purse、サマリア人の財布)」は27日、北朝鮮の一部地域で、不作のため2か月以内に食糧が底をつく恐れが高いと警告した。

 米韓両国は、北朝鮮で食糧難が切迫しているとの報告には慎重な姿勢を示している。支援を得たい北朝鮮政府が問題を誇張しているだけと疑う高官もいる。

 しかし、2月に北朝鮮を訪問した米5団体の1つであるサマリタンズ・パースのケン・アイザックス(Ken Isaacs)副代表は、米シンクタンク「アメリカンエンタープライズ研究所(American Enterprise InstituteAEI)」で開かれたセミナーで、厳冬で穀物生産が最大半減しており、すでに草や葉、木の皮などを食べている人びともいたと指摘。「われわれの訪問した地域の多くで、6月半ばに食糧が尽きると考えられる。われわれの現地調査によれば緊急支援が必要なのは確かで、もし支援がなければ年内に人びとは餓死するだろう」と語った。

 アイザックス氏によると、これらの支援団体は北朝鮮政府が要請している量の約半分にあたる計16万~17万5000トンの食糧を北朝鮮に提供したい考えだが、食糧が底をつく前に輸送の手配をすることは不可能とみられる。手配開始から実際に現地に支援が届くまでには、3か月ほどかかるという。

 北朝鮮で1990年代に起きた飢饉では、数十万人が死亡した。民族の自主性を重視する主体(チュチェ)思想を掲げる北朝鮮政府は、2009年に米団体の支援を断っている。(c)AFP/Shaun Tandon