【4月12日 AFP】現在の米国にも大きな影響を残したと歴史家たちが指摘する南北戦争の開戦から、12日で150年を迎えた。

 州権と奴隷制の存続をめぐり連邦(the Union、北軍)と対立した南部連合(Confederacy、南軍)は1861年4月12日、サウスカロライナ(South Carolina)州のサムター要塞(Fort Sumter)を砲撃。これを機に勃発した南北戦争は、米国史上最多の50万人を超える米国人戦死者を出した。

 しかし、米非営利調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の調査によると、南北戦争の原因について48%の人が州権の問題、38%の人が主に奴隷制の問題だったと回答するなど、南北戦争に対する一般的な米国民の認識は一致していない。

 公民権法が制定され、人種に基づく差別が違法となったのはようやく1964年。2008年の大統領選では米国初の黒人大統領が誕生したが、歴史家や政治学者たちは、人種問題や州権はいまだに米国に横たわる大きな問題だと主張している。

 フロリダ大学の歴史学者ウィリアム・リンク(William Link)氏は「わが国に奴隷制はもはや存在しないが、今でもこの国で人種と言えば、白人と非白人という2つの人種しか思い浮かべない人が多いだろう」と言う。

 南北戦争は映画や小説の題材としても人気が衰えない。テレビで放送されるたびに高視聴率を記録する『The War』を製作したケン・バーンズ(Ken Burns)監督は、南北戦争について「米国史上、最も重要な出来事だ。アメリカ人の心に響かないわけがない。この戦争がこの国を規定した。つまりこの戦争で米国は1つになったのだから」と語っている。(c)AFP/Charles Duncan Pardo