【3月21日 AFP】アラブ諸国で最大の人口を持つエジプトで19日、大統領権限の制限などを盛り込んだ改憲案の是非を問う国民投票が実施された。翌20日に発表された開票結果によると、投票率は41%で、投票者総数の77.2%に相当する1400万人が賛成票を投じた。

 改憲案の主な内容は、大統領の任期を現行の6年から4年に短縮し3選を禁止することや、民間人が訴えられた訴訟を軍事法廷に付託する権限の廃止、国民投票を経ない非常事態は6か月までとすることなど。改憲が承認されたことで、エジプトでは6か月以内に新しい大統領と議員を選ぶ選挙が実施されるとみられる。

 改憲の内容自体は議論の余地のないものだが、ホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)前大統領時代の憲法を改正しただけでは不十分で、新憲法が必要だと主張する人もいる。また、ムバラク政権打倒に追い込んだ抗議デモの先頭に立った若者たちのグループも、暫定政権が設定した期間では、市民らが草の根レベルで新しい運動を立ち上げる時間がないと主張し、世俗派政党や野党議員らとともに改憲案への反対を呼びかけていた。

 一方、カイロで投票所に向かっていたモハメド・エルバラダイ(Mohamed ElBaradei)前国際原子力機関(IAEA)事務局長は、イスラム主義者とみられる一団に靴や石などを投げつけられ投票を妨害された。(c)AFP/Tahar Majdoub